苫小牧市勇払の勇払マリーナで来年4月の本格オープンを目指す道内初の「海上釣り堀」が23、24の両日、プレオープンした。予定した予約枠は全て埋まって注目度の高さを裏付けた一方、釣り人の釣果は振るわなかった。管理者は「本格オープンへの課題が明確になった」と受け止めている。
同マリーナの指定管理者、ベルポート北海道(本社苫小牧市)の自主事業。勇払の地域活性化とマリンレジャーを身近に感じてもらうきっかけにと計画した。
施設は13メートル四方の「いけす型」で、釣り場は木製デッキ仕様。周囲に手すりを設けて安全を確保した。いけすに放す魚は苫小牧沖で釣れるアブラコやソイ、カジカといった根魚のほか、時期によってはサバ、フクラギなどの青魚も見込んでいる。
今回は試験的な開放のため、両日とも制限時間90分でそれぞれ2回開放した。参加枠は各回8組に設定し、予約ですべて埋まる人気ぶり。小学生を連れた親子やボートロックの愛好家など市内や札幌市などから参加した。さお、仕掛け、餌、ライフジャケットなど一式をレンタルする家族連れもいて、「手ぶらで釣りを楽しめる」ファミリーレジャーとしても提案していく。
ただ、肝心の釣果は厳しく、大物を含むアブラコ、ソイを放流していたものの、「釣果どころか当たりさえない」とは初日の釣り人のぼやき。参加者はソフトルアー、虫餌や身餌を使っての餌釣り、フカセ釣りなど思い思いのスタイルで探るものの、魚は総じて低活性。腕自慢の太公望も「釣りにはこんな日もあります。天気がいいので、きょうはよしとします」と苦笑いだった。
ボートロックファンで、年に何度か遊漁船に乗って勇払沖でルアーゲームを楽しむ札幌市の会社員、中村辰二さん(51)は「海上釣り堀は本州ではよくある。せっかくの機会と思って参加しました」と関心を寄せる。「魚種がアブラコ、ソイとなじみ深いだけに、釣り堀では大物との駆け引きが楽しめるといいんですが」と今後に期待した。
杉本一支配人は「魚は、放流後の時間が短いとどうしても活性が低い。釣り堀だけに釣れてなんぼ、ということもある。対策を練って来春に備えたい」と話していた。
同マリーナは、本格オープンの来季に向けて制限時間や人数枠、料金などシステム全般を検証する。