Q 「雪虫はなぜ、初雪前に大量発生するのですか。雪虫の正体は?」
A 「雪虫」と呼ばれているのは、ワタムシ科に属するアブラムシの仲間です。雪虫にはトドノネオオワタムシやコウノオオワタムシなど10種類ほどがいます。その中で、最もよく見られるのがトドノネオオワタムシでしょう。
雪虫という名前は、雪のように白い分泌物で体が覆われていることに由来しています。また初雪が降り始める頃に見られることが多いのも理由の一つです。
雪虫は暖かくて食べ物が豊富な春から夏にかけて、雌は雌の子虫だけを産んで増えます。しかし、冬は卵で越冬しなければならないので、雄虫が必要になります。そのため雌ばかり産んでいたお母さん虫は、雌虫と雄虫を産み分け、交尾と産卵をさせるようにしなければなりません。
晩秋から初冬になると羽のあるお母さん虫が現れ始め、春から夏に暮らしていたトドマツからヤチダモの根元に飛んで行き、雄虫と雌虫を産み分けます。子虫は5日ほどで成熟し、交尾、産卵をして一生を終え、卵で春を待ちます。
皆さんが雪虫を見るのは、お母さん虫がヤチダモに向かって飛んでいる途中なんです。
ヤチダモの根元に卵を産むのは、降り積もった雪で卵を覆ってもらい(雪の下は常に0度)、氷点下の外気から守るためだと考えられています。トドノネオオワタムシがヤチダモを選ぶ理由は明らかではないようですが、ヤチダモが自生する地下水位の高い環境と関係があるのかもしれません。雪が降りだす時期は、雪虫にとって死活問題なのです。
ゆうふつ原野自然情報センター・村井雅之=随時掲載