「胆振東部地震で地域住民は改めて、災害に対する備えの大切さに気が付いた」―。苫小牧市自主防災組織連合会の会長、滝進さん(85)はそう指摘する。同連合会は2016年5月の設立以降、各町内会の自主防災組織の意識高揚に努めてきた。衆院選の政策論争を見詰めながら「改めて防災について考え、一票を投じたい」と語る。
滝さんは18年9月の同地震発生当時、澄川町町内会の会長として避難所運営などの陣頭指揮に当たった。町内会が所有する発電機を稼働させ、住民の充電ニーズにも対応。報道などを通して「苫小牧地域は北海道のエネルギー心臓部であることがブラックアウト(大規模停電)で分かった」と振り返る。
防災で自助、共助、公助の深化が求められる中、滝さんは「地域に寄り添い、顔が見える政治」を期待する。自治体レベルでは難しい危機管理体制を国にしっかり整えてもらうため、国会議員には「日常的に地域に密着し、地域住民と交流を図る中で、地理的環境や防災上の課題を把握。国レベルの迅速な公助につなげてほしい」と訴える。
新型コロナウイルス感染拡大で、避難所運営の在り方など課題が山積している。「密」を避けるため、話し合いも満足にできない状況だからこそ一票で意思表示できる「大事な選挙」と自覚。「各政党、各候補が防災についてどのような見識を持っているかも、調べた上で投票につなげてもらえたら」と話す。
(半澤孝平)