ヨルバのビーズ人像 (ナイジェリア) 世界一大きい造形物 人を飾る、物を飾る 1

  • 人類の美 ビーズ, 特集
  • 2021年10月23日
ナイジェリア・ヨルバ人の王を表現したビーズ人像。世界最大級のビーズ工芸品だ(国立民族学博物館所蔵)

  皆さまの家では、数珠、首飾り、ブレスレットなどを持っているのではないだろうか。そしてこれらは、よく見ると共通した特徴を持つことに気がつくことであろう。球形の玉と玉をつないでいる点だ。しかし、その部材が玉である必要はない。貝殻、石、植物の実など、どんな素材でも、つなぐことでビーズになる。

   一方で、布切れにさまざまな色のビーズを縫い込むことがある。人ではなくて、物を飾るためだ。例えば今回の国立アイヌ民族博物館の特別展会場には、世界一大きいビーズの造形物=高さ約1・5メートル=が置かれている。ナイジェリアのヨルバ人の王様の像だ。私がアフリカで収集したものである。現地へ行くと、ヨルバ人の中には世襲制の男性のビーズ職人がいる。この作品を仕上げるには、2人がかりで2~3カ月かかるという。

   このようにビーズには、人だけではなく、物を飾ることもある。線のみではなく面状のものもある。どうしてビーズは古くから世界中で人々を惹き付けてきたのか。展示場で考えてみてはいかがでしょうか。

  (国立民族学博物館・池谷和信教授)

   白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)中核施設・国立アイヌ民族博物館が開催中の「ビーズ アイヌモシリから世界へ」(12月5日まで)=国立民族学博物館巡回展=。古来から世界の諸民族が作り続けてきた人類の美・ビーズの歴史と魅力を伝える今展の主な展示物について、研究者の執筆で紹介する。毎週土曜日に掲載。

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