6 男女平等参画 「生きづらさ」深めたコロナ禍 女性の社会的孤立防ぐ

  • 2021衆院選 地域から問う, 特集
  • 2021年10月18日
山手北光総合福祉会館で行われた女性支援のための茶話会

  苫小牧市山手町の山手北光総合福祉会館に9日、近くに住む2人の女性が姿を見せた。平等社会を推進するネットワーク苫小牧(中村こずえ会長)が同会館を会場に月2回の茶話会を企画し、この日が初めての開催だった。2人はボランティアスタッフと楽し気に語らいながらも、言葉の端々に介護や育児に追われる苦労をにじませた。60代後半の女性は「人と話してこんなに笑うなんて、本当に久しぶり」と穏やかな表情を浮かべた。

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   新型コロナウイルス感染拡大防止のため学校が休校になると、育児や家事の負担はこれまで以上に女性に集中した。アルバイトや非正規労働者を解雇する企業も相次ぎ、非正規の多くを占める女性の失業が増え、自殺者も増加した。

   国は今年度、コロナ禍で悩みや不安を抱える女性を支援する補助金事業を打ち出し、苫小牧市も10月から事業を開始した。女性対象の相談会や居場所づくりを通し、女性の社会的孤立を防いで必要な支援につなげる考えで、四つの民間団体が受託した。茶話会はその試みの一つだ。

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   シングルマザーが置かれている状況はさらに過酷だ。コロナ禍で失業率は上昇し、食品提供を通じてひとり親世帯の支援に取り組むフードバンクとまこまいの元にもSOSが舞い込む。

   そのうちの一人は、夫との離婚を決めたものの自身の病気が発覚し、新生活のスタートに難航していた。「どこにどうつながり、どのような制度を利用すればいいか分からない」と悲痛な声を上げた。子どもの学校の臨時休校や学級閉鎖で仕事を休まざるを得なくなり、収入減に苦しんでいる人もいるという。

   スタッフの笹嶋朋美さんは「こんなはずじゃなかった、と悩んでいるひとり親は多い。孤立し、不安を抱える女性に寄り添う支援が重要」と訴える。

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   世界経済フォーラム(WEF)が3月に発表した2021年ジェンダーギャップ指数の順位で、日本は156カ国中120位。先進国の中では最下位だ。政治の分野に限ると147位とさらに低く、女性進出の遅れが際立っている。4日に発足した岸田新内閣の閣僚21人のうち女性は3人(約14%)、19日に公示される衆院選でも、道内12小選挙区の候補予定者32人のうち女性は2割に満たない。

   市協働・男女平等参画室の宮嶋紀子室長は「男女格差の根底には、性別に対する固定的な役割分担意識がある」と指摘する。コロナ禍がそれに追い打ちを掛け、女性の生きづらさをさらに深めた。「誰もが自分らしく幸せに暮らすことができる男女平等参画社会の実現は、想定外の事態でも揺らがない強い社会づくりに不可欠。国民一人ひとりが自分事として考えるべき時に来ている」と話す。

  (終わり)

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