サケ実釣リポート 樽前海岸で浮きルアー 力強い手応え満喫

  • 釣り
  • 2021年10月7日
鼻曲がりの雄ザケ。45グラムのスプーンに赤のタコベイト、段差フックには1センチ角のフクラギを餌で付けた
鼻曲がりの雄ザケ。45グラムのスプーンに赤のタコベイト、段差フックには1センチ角のフクラギを餌で付けた
早朝の樽前海岸
早朝の樽前海岸

  人気の秋サケ釣りを実釣リポートしようと、釣り倶楽部担当はこのほど、苫小牧市樽前で「浮きルアー」にトライした。厳しい状況の中で幸運にも1匹を釣り、結果を出すことができた。

   当日は弱い北風で波はややうねりがある程度。密になりがちな人気釣り場を避けての樽前川河口付近は、両岸合わせて釣り人は数人。左岸は貸し切り状態でゆったりとさおを振った。

   浮きルアーは、スプーンにタコベイトをかぶせたフックをつなげ、餌を付けてゆっくりと海中を引く釣り方。浮きがあるからルアーは一定の棚を泳ぐ。担当が10年以上愛用している14フィートのルアーロッドは振り出し型でやや先調子だが、ルアーの重さを選べば遠投も利く。1・5号のPEラインにフロロカーボン8号のリーダーをつなげ、スプーンは45グラムを選択。餌は塩で締めたフクラギを用意した。

   釣り方はシンプルだ。ルアーを投じて超スローで引くだけ。リールのハンドルは2~3秒で1回転ほど。餌取りの猛攻に閉口しながら30分ほどたったころだった。波の頭が崩れるブレークライン辺りで不意にハンドルにブレーキがかかり、さおが引っ張られた。

   サケ釣りで早合わせは禁物。「コン、コン」と軽い前当たりが続き、その後に魚の重さがさおに乗ったところで合わせる。しかしこの時、前当たりはなく、魚はルアーをくわえて反転、激しく走りだしたよう。

   「早いも遅いもない」とすぐにさおを立ててフッキング。魚は波を割って暴れ、左に右に走る。リールはスプールが逆回転し「ジジ、ジジジ」と鳴いて断続的に糸が出る。強い引きでさおが寝ないようこらえながらドラグを少し締めてリールを巻き、波に合わせて波打ち際に寄せては引き波で戻されを繰り返し、数分の後に海岸に引き上げた。

   釣れたのは70センチ強の雄。段差フックの1本が下顎に掛かっていた。だが、ルアーにフックを連結していた金具の異変には気付かなかった。このため2匹目を掛けて魚が抵抗を始めた直後、ばれてしまった。回収した仕掛けはルアー下のスイベルが壊れ、フックは消えていた。有頂天になって確認を怠った結果だ。

   行政が魚道の設計などで参考にするサケの「突進速度」は毎秒5メートル。体重3キロの魚が引き波に乗って猛ダッシュすれば、仕掛けやさおへの負荷は相当。さおは折れることもある。取り込み間際の抵抗の激しさ、仕掛けのチェックの重要さを改めて思い知った。

   樽前川は稚魚の放流河川ではないため、遡上(そじょう)するサケはそう多くはない。今回は運良く岸寄りのタイミングに恵まれ、釣果ありのリポートで完結できた。魚は塩じゃけ、フライ、ちゃんちゃん焼き、ムニエルなどにしてしばらく旬の”秋味”を堪能したい。自然の恵みに感謝。ごちそうさまでした―。

過去30日間の紙面が閲覧可能です。