極夜が明けてから 久保木学さん (安平町早来出身)が現地リポート、観測機器までのルート作成、ペンギンの生態調査も

  • 南極から, 特集
  • 2021年9月29日
ルート工作中の久保木学(左)、柴田和宏両隊員=国立極地研究所提供
ルート工作中の久保木学(左)、柴田和宏両隊員=国立極地研究所提供
ペンギンの営巣地・ルッカリー(2020年12月撮影)=国立極地研究所提供
ペンギンの営巣地・ルッカリー(2020年12月撮影)=国立極地研究所提供
夕暮れのスカーレン小屋(カブース)と氷河=国立極地研究所提供
夕暮れのスカーレン小屋(カブース)と氷河=国立極地研究所提供

 第62次南極地域観測隊(2020年11月~2022年3月)に参加している東胆振出身隊員による月1回の現地リポートは、今回で最後。4月から元小学校教員柴田和宏さん(46)=苫小牧市澄川町=と久保木学さん(56)=安平町早来=の2人に昭和基地での暮らしを伝えてもらった。最終回の第6回は、久保木さんが太陽が出ない「極夜(きょくや)」が明けてからの活動について紹介する。

 この連載も今回が最後になります。最後は、極夜が明けてからの活動について書きたいと思います。

 極夜が明けると、越冬隊の野外観測活動が本格的に始まります。同時に野外観測支援隊員としての私の出番も本格化します。

 あまり知られていませんが昭和基地は南極大陸にあるのではなく、4キロ離れた東オングル島という島にあります。どこに行くにしても厚い海氷に覆われた海の上を通らなければなりません。海氷には割れ目があったり、氷が押し合って盛り上がったプレッシャーリッジと呼ばれるものや氷がシャーベット状になっていたりといろいろな危険な箇所があります。そのような状況の中で、安全に通れる場所を選定し、ルートをつくっていくのが私の仕事です。

 時には、割れ目に道板と呼ばれる木の板を渡し、その割れ目を通過しなければなりません。割れ目付近は氷が薄くなっている場合が多く、「割れて落ちてしまうのではないか」と渡る瞬間はとても緊張します。一番遠い場所で昭和基地から約90キロ離れた場所までルートを作りますが、場所によっては9月中旬を過ぎると海氷が割れて通過できなくなるので、できるだけ早い時期にルートを作らなければなりません。

 このルートができると、観測隊員は昭和基地から離れた場所に設置されている観測機器の元へと行くことができます。そうすることでデータを回収したり、バッテリーを交換したり、時には動かなくなってしまっている機械を修理したりしながら観測を続けることができるようになるのです。

 ペンギンの生態調査も大切な仕事です。アデリーペンギンは昭和基地から離れた沿岸や島の同じ場所に集団で巣を作り、卵を産み、ひなを育てます。毎年11月15日と12月1日の前後3日間で個体数、卵や巣の数を調べ、気候変動、海氷条件、漁業活動などがどのように影響しているかの調査の参考にしています。

 南極大陸には、日本では見られない不思議な現象や景色、珍しい生き物などにたくさん出合えます。次の63次隊が昭和基地に到着するのが12月中旬。次の隊に引き継ぎを行い、昭和基地を離れるのが2月。海洋観測を行いながら日本に帰り着くのが3月。帰国までに残された時間は約6カ月です。それまでの間も常に探求心を持ち続け、南極生活を過ごしていきたいと思います。(終わり)

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