Q…北海道にキリギリスはいないと聞きました。本当でしょうか?
A…北海道にキリギリスは生息していません。北海道に生息しているのは、寒冷地に適応したハネナガキリギリスとカラフトキリギリスです。また、カラフトキリギリスは道東周辺にしか生息していません。
本州以南に生息するキリギリスと北海道に生息するハネナガキリギリスは、羽の長さと体の色などで区別できます。羽の先端がおなかより先に出るほど長く、体全体が緑色をしているのがハネナガキリギリスです。また雄と雌は、雌のおなかの先に細い剣のような産卵管(地中に卵を産み付けるための管)があるので簡単に区別できます。8月中旬頃から「ギーチョン、ギーチョン」と雌を誘う雄の鳴き声が原野の草原に響き始めます。
日本人には、古くから虫の声を楽しむ習慣があり、平安時代には虫を庭に放して鳴き声を楽しんだという記録があります。昭和初期には鳴く虫を専門に売り歩く「虫売り」という商売もありました。道内で人気のある鳴く虫は、ハネナガキリギリスやエンマコオロギの仲間、カンタンなどですが、それぞれ好む環境や食べ物が異なるので、飼育はよく調べてからにしましょう。
キリギリスの仲間は肉食傾向が強い雑食性なので、飼育容器に何匹も一緒に入れておくと共食いを始めることがよくあります。そのため1匹ずつ飼育し、食べ物には植物質の他に煮干しなどの動物質も与える必要があります。
勇払原野には鳴く虫が好む場所が豊富にあります。虫の音色を楽しみに出掛けてみてはいかがでしょう。
(文とイラスト ゆうふつ原野自然情報センター・村井雅之)=随時掲載