「待ち望んでいた」「リバウンドが心配」―。道内に発令中の新型コロナウイルスの緊急事態宣言が30日の期限でまん延防止等重点措置に移行せずに解除される見通しとなり、苫小牧市民の間では期待と不安が交錯している。
市内での新規感染者数が徐々に減っていく中、「全面解除への期待が膨らむ毎日だった」と話すのは、屋台通り錦町横丁(錦町)の「串揚げや 串喜」店主佐々木正明さん(72)。「以前のようなにぎわいになるのはまだ先だろうけど、飲食店に明かりが戻るのはうれしい。時短営業は継続するが、客の流れを見て柔軟に対応したい」と力を込めた。
「御食事と酒処 文ちゃん」(双葉町)の店主木村勝彦さん(67)も「やっとお客さんの声に応えられる」と喜ぶ。「客足が戻る時期は不透明で、地方客も多い場所だけに(感染への)不安を拭えない部分はあるが、営業を本格再開できるのはうれしい」と言う。
道内が宣言、重点措置とも出ていない状態になるのは8月1日以来。海の駅ぷらっとみなと市場(港町)内にある青果店のパート従業員野宮唯さん(32)=大成町=は「未就学の子どもが2人いるが、しばらく外食を控えていた。宣言が解除されたら久しぶりに外でご飯を食べたい」と笑顔を見せつつ、冬にかけて気温が下がることで「換気しづらくなり、また感染が拡大しないか」と不安も吐露した。
熊谷孝さん(73)=しらかば町=も「感染の再拡大に若干の不安はある」としながら「感染者数は減り続けており、解除の判断は妥当」と歓迎。図書館に通うのが日課といい「公共施設の利用制限解除で、新聞や雑誌を自由に読めるようになるのが楽しみ」と語った。
苫小牧高専専攻科1年の佐藤颯空(そら)さん(21)=美園町=は「宣言期間中、我慢していた人も外出するようになることで、感染者が増える不安は大きい。当面はなるべく外出はしないようにしたい」と述べた。
4~9歳の子ども3人を育てる縞居愛さん(38)=宮前町=は「宣言期間中は遠出を控えた程度で日常生活に大きな影響は出なかったが、子どものサッカー大会やマラソン大会などの学校行事がなくなってしまったのは残念」と振り返る。その上で、「宣言が解除により市内一律の対応ではなく、それぞれの組織や場面に合わせた柔軟な判断、対応が可能になる」と指摘。十分な感染予防対策を講じた上、スポーツや学校教育が活発化していくことを願った。