―震災から3年がたった町の受け止め方は。
「復興計画の大きな課題であった早来小、中学校の建設工事が7月に始まった。学校の統合など説明を続けていかなければならない。児童生徒や保護者だけでなく、地域の方にも使っていただける施設になることを発信する。2022年度中に完成し、3学期から使える予定。その後、仮設校舎が解体され、更地になった時点で、大きな意味での復旧事業が終わると考えている。
共同墓も今月末には完成し、冬になる前に希望する方の納骨もできる予定。
震災で多くの建物や町民が被害を受けたが、何とか乗り越え、震災前より充実したまちづくりに向けて取り組みを進めることができていると思う。
ただ、復興については行政と町民で感じ方、捉え方の違いがあるのでは。町民に生活調査アンケートを行い、取りまとめた内容を分析しながら、不足している部分に対応し、また起きる可能性のある災害に備えていきたい」
―新型コロナウイルス感染拡大による復興への影響は。
「他の町も同じだが、行事やイベントが制限され、中止・延期になっている。町としては建物を復旧させていくだけではなく、震災で我慢を強いられた皆さんをイベントや催しで元気づけようと思っていたが、コロナで二重の災害に見舞われた。来年度以降、2年間中止していたものが元通りできるのか危惧している。弊害からのフォローをしていきたい。
震災やコロナはない方がいいが、そこからプラスに転じることを軸足に置いて3年間進めてきた。既に始まっているリモート会議やペーパーレスなどは、コロナ禍でなければ進んでいない」
―一部では復興の先が少しずつ見え出している。
「今は光通信環境がないと都会から人は来てくれない。安平町は情報環境、通信環境が遅れていたが、地方創生臨時交付金を活用し、来年4月から全域で供用開始になる予定。自宅でのリモート学習やリモートワーク、サテライトオフィス、スマート農業など、チャレンジできる環境の下地が今年度で整うと考えている。そこから新しい動きがまた出てくるのでは」
―今後の展望は。
「北海道移住ドラフト会議にも参加したが、スキルを持った方に移住してもらいたい。町外にいても町の情報発信をしてくれるような試みも始めている。人とのつながりでこれまで少なかった関係人口や、震災でいろんな方がボランティアで入って注目していただいたり、ふるさと納税していただいたり、支援していただいている方とのつながりが相当数増えた。そういった方たちの力を借りながら、新しいまちづくりが職員と共にでき始めている。
商店街もコロナ禍で厳しい部分はあるが、(早来、追分地区)共通のあびらポイントを導入できた。これを大事に育て、生かしながら、来年度の事業を新しく構築していけたら」