子どもスペシャル内容新たに 夏休みの小学生に学びの場を

  • 救護室のカルテ, 特集
  • 2021年8月20日
参加の小学生にプレゼントした冊子としおり

  この夏、小学生を対象にしたイベント「夏休み子どもスペシャル☆野生動物を守る! ~獣医さんと環境省の活動を知ろう~」を開催しました。

   これは、夏休み中の小学生を対象に、ウトナイ湖野生鳥獣保護センターの救護活動や身近な野生動物問題などを知ってもらうため、10年前から始めたイベント。近年では、より理解を深めるために、当センターの設立者でもあり、苫小牧市と共同で運営を担う環境省北海道地方環境事務所ともタッグを組み、実施してきました。

   しかし、昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響でイベントが中止。今年こそはと実施を検討するも感染症の収束が見込めず、それでも子どもたちの学びの機会を失いたくはなく、大幅に内容を変更することにしました。

   そこで今回は単独のイベントではなく、小学校の夏休み期間中、開館時間帯であればいつでも参加できるクイズラリー形式にしました。館内に4カ所のパネルを新設し、野生動物を守るために当センターの獣医師や環境省が行う(1)生息地を守る活動(2)野生動物を取り巻く問題を伝える活動(3)人為的要因でケガをした野生動物を保護する活動―を紹介。野生動物を守るために、さまざまな角度からのアプローチが必要であること、そのための具体的な取り組みなど、クイズを交えながら学べる内容にしました。

   また、この学びをこれからの生活の中でも役立ててもらえたらと願いを込めて、オリジナルの冊子としおりもプレゼント。初めて試みた企画でしたが、ありがたいことに、延べ178人の小学生が参加をしてくれました。

   そしてこの夏、うれしいお客さんが来館しました。当センターで実施している市内小学生を対象にした「こころの授業」を受けたばかりの5年生の女の子でした。聞くと、自然環境を守るために学校で新しくクラブをつくりたいとのこと。そのために何ができるのかを模索し、訪ねてきてくれたのです。体は小さくても、その真剣なまなざしに計り知れない熱意を感じました。

   新型コロナウイルスの収束が見えず、不安であろう生活の中でも、こうして自然環境や地球の未来を考え、向き合おうとしている子が現実にいます。このような時代においても一歩一歩、力強く成長を続ける子どもたちのために、そして地球の未来を背負っていく子どもたちのために、寄り添いながらもそっと後押しできる大人でありたいと心から思うのでした。

  (ウトナイ湖野生鳥獣保護センター・山田智子獣医師)

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