東京オリンピックが終わり、一日中テレビにかじり付いていた太公望も青空の下でさおを振りたくなる。苫小牧港ではイワシやサバ狙いのサビキ釣りが最盛期を迎えている。暑さが落ち着いた8月中旬、港へ足を運んだ釣り倶楽部担当は、夏休み終盤の思い出づくりに訪れた家族連れでにぎわう様子を目にすることができた。
◇親子連れでにぎわう北埠頭
訪ねたのは苫小牧港・西港北埠頭(ふとう)の「キラキラ公園」。普段RORO船(フェリー型貨物船)が停泊している隣の岸壁では家族連れを中心に20組ほどがさおを出していた。おおむねオキアミを餌にしたサビキ仕掛けで、5~10分の間隔で15センチほどの小サバやイワシが釣れていた。
「夏休みの思い出に」と札幌市から来た会社員の工藤睦己さん(43)、袴太郎君(10)親子は、昼すぎに釣り始め2時間ほどでサバとイワシ20匹。
爆釣とはいかなかったが、外出自粛が続く夏休みだけに袴太郎君は「釣りは楽しい」と笑顔でさおを振っていた。
◇安全のためライフジャケット着用を
苫小牧港での釣りは、「キラキラ公園」や「入船公園」など一部を除いて埠頭の多くは手すりや柵が設置されていないことから海中転落の危険が付きまとう。日ごろから注意している釣り人は多いものの、近年は行楽シーズンなどに港湾で気軽に釣りを楽しむ家族連れが増え、最近も本州で幼児が海中に転落、死亡する痛ましい事故が発生している。
取材当日、担当が気になったのはライフジャケット。大人・子どもに限らず約8割が未着用だった。万一に備えた最低限の安全確保がライフジャケットだ。多くの人が「落ちるような危険なことはしない」と考えていても、実際に転落事故は発生し、犠牲になっている人がいることをいま一度認識し、安全に釣りを楽しみたい。