政府は17日、新型コロナウイルス感染症対策本部を開き、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の追加・延長を決めた。京都、兵庫、福岡など7府県を宣言対象に加えた。発令期間は20日~9月12日。宣言発令中の6都府県は期限を8月末から9月12日まで延ばした。
菅義偉首相は対策本部で「感染力の極めて強いデルタ株が世界中で猛威を振るい、これまでに経験のない感染拡大が続いている」と表明。「重症者数も急激に増加し、首都圏を中心に医療体制は非常に厳しい」と危機感を訴えた。
今後の対応については「医療体制の構築、感染防止の徹底、ワクチン接種を3本の柱として対策を進めていく」と強調。「症状が重い方がきちんと入院できるように病床を確保し、ホテル療養を含め最大限の上積みを行っていく」と述べた。
政府や自治体は感染対策の徹底に取り組む。クラスター(感染者集団)が百貨店などで相次ぐことを踏まえ、1000平方メートルを超える大型商業施設での人数制限を要請。首相は、買い物の回数を減らすなど「混雑した場所への外出機会の半減」を呼び掛けた。
この後、首相は首相官邸で記者会見し、ワクチンについて「8月末には全国民の半数近く、9月末には6割近くが2回の接種を終える見通しだ」と説明。その上で「10月から11月のできるだけ早い時期に、希望する全ての方の接種完了を目指す」と明言した。
事業者支援のために3000億円の交付金を新たに配分する方針も明らかにした。
一方、全国への宣言拡大については「一部の県には過剰な規制となる」と慎重な考えを示した。外出禁止を含むロックダウン(都市封鎖)を可能にする法整備も「(諸外国では)感染対策の決め手とはなっていない」と効果を疑問視した。
新たに宣言を出すのは、茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡。宣言対象は13都府県に広がる。また、宣言に準じた重点措置を、宮城、富山、山梨、岐阜、三重、岡山、広島、香川、愛媛、鹿児島の10県に適用する。期間は20日~9月12日。北海道、愛知など6道県に適用中の同措置を9月12日まで延長する。
飲食店には午後8時までの営業時間短縮を要請。宣言地域では酒類提供の一律停止を求める。重点措置地域では原則停止とし、一定の条件下で容認する。知事の命令に従わない事業者には過料(宣言地域で30万円以下、重点措置地域で20万円以下)を科せる。
東京での今回の宣言は7月12日から始まり、2回目の延長となる。東京五輪に続き、東京パラリンピックの期間中(8月24日~9月5日)も宣言が続くことになる。(時事)