第74回北海道高校陸上競技選手権大会兼秩父宮賜杯第74回全国高校陸上競技対校選手権大会道予選会第2日は16日、室蘭市入江運動公園陸上競技場で男女のトラック、フィールド10種目の決勝などが行われた。女子1500メートルで北海道栄の松木七光(2年)=開成中出身=が4分36秒01をマークし見事優勝。男子4×100メートルリレーでは、道栄(町井大城・清水徹・橘弘栄・エケジュニア瑠音)が40秒94の大会新記録で頂点に立った。
男子100メートルでは、町井大城(道栄3年)が10秒74の2位。清水徹(同2年)が10秒87の3位、橘弘栄(同2年)が10秒99の6位にそれぞれ入った。その他、男子円盤投げの内田勘太(道栄2年)が39メートル25で2位。女子4×100メートルリレーの道栄(田澤暖・堀下結愛・石田真夕・納村琉愛)は48秒56で3位となった。
また、第1日の15日に行われた女子やり投げで苫小牧東の小熊美香莉(2年)が36メートル28で5位に入り、高校総体出場を決めた。
【男子】
▽100メートル (1)水野琉之介(立命館慶祥)10秒69(2)町井(北海道栄)(3)清水(同)▽4×100メートルリレー (1)北海道栄40秒94=大会新=(2)立命館慶祥(3)北海▽棒高跳び (1)坂元恭介(網走南ケ丘)4メートル30(2)佐藤(大麻)(3)及川(白樺学園)▽円盤投げ (1)山崎夢叶(旭川大高)39メートル68(2)内田(北海道栄)(3)高宮(雄武)▽八種競技 (1)山崎楓太(市立函館)5183点(2)松井(立命館慶祥)(3)齋藤(札幌新川)
【女子】
▽100メートル (1)神田琉杏(立命館慶祥)12秒40(2)小野寺(帯広柏葉)(3)佐藤(遺愛女子)▽1500メートル (1)松木七光(北海道栄)4分36秒01(2)石橋(旭川龍谷)(3)上西(立命館慶祥)▽4×100メートルリレー (1)立命館慶祥48秒13(2)北海(3)北海道栄▽走り高跳び (1)山口虹羽(北海)1メートル62(2)水口(立命館慶祥)(3)早田(札幌第一)▽三段跳び (1)澤中柚乃(遺愛女子)11メートル61(2)小熊(札幌藻岩)(3)曽根(網走南ケ丘)▽砲丸投げ (1)辻茉侑(函館大妻)12メートル43(2)鈴木(市立函館)(3)竹村(常呂)
―勝利確信のスパート 松木「うれしさでいっぱい」
松木(2年)には作戦があった。「自分から無理に引っ張ると早めに失速してしまう。ラストまで体力を温存させよう」。先頭を切ってハイペースなレースを展開する上西(立命館慶祥2年)の後方にぴたりと付け、冷静に勝機をうかがった。
相手は残り400メートル付近でスパートをかけてきたが、動じず追走し最終コーナー手前から一気に抜き去った。「勝った」。従来の自己ベスト(4分42秒72)を大幅に更新する、4分30秒台での快勝劇。右腕を突き上げ、満面の笑みでゴールラインを通った松木は「うれしさでいっぱいだった」と声を弾ませた。
苫小牧市出身で市内では敵なしの中距離ランナーだったが、中学時代は持病のぜんそくが邪魔をして満足のいく結果を残せなかった。そこに声を掛けてくれたのは道栄駅伝部の櫻庭部長。昨春、十数年ぶりに復活した女子チームの1期生となり、道内屈指の実力を誇る男子チームに交ざり練習してきた。
「速い男子選手と走ることで後半に失速することがなくなった」と松木。櫻庭部長は「勝ち気な性格で、いつも男子には負けたくないとの思いでやってくれている」と向上心の高さに目を細める。
初の全国大会出場へ、すでに気持ちを高ぶらせる松木。自己記録を4分20秒台に引き上げ「決勝に進出できるようにしたい」と意気込んだ。
― 男子400メートルリレー 道栄が他校圧倒
道栄男子が大会新記録で3大会ぶりの400メートルリレー王座に返り咲いた。走者全員が個人種目で高校総体出場を決めている豪華布陣で他校を圧倒。町井主将(3年)は「全員の頑張りで出せた記録」と胸を張った。
100メートル準優勝の町井、同3位の清水(2年)、同6位の橘(同)がそれぞれ快足を飛ばした。アンカーを担った400メートル覇者のエケ(同)にバトンが渡ったときには独走状態。タイム表示板に40秒94の数字が出ると、会場は大きく沸いた。
これまでの大会記録は2015年に道栄(寺島和希・高松祐孝・工藤稔也・高山倭)がマークした40秒96だった。当時のチームは続く高校総体で40秒43の道高校記録を樹立し見事4位(高松・寺島・工藤・室谷翔太郎)入賞。その記録を2年生中心の布陣で塗り替えたことに、優勝以上の大きな価値があった。
高校総体では「一人一人がまず個人戦で結果を残していけば、リレーの好成績にもつながる」と町井主将。自身は1年生だった19年大会で、100分の7秒差で予選落ちを経験している。「今回は主将としてチームを引っ張って、その悔しさも晴らしたい」と語った。