―主将に抜てきされて。
「大役だということは、前主将の山下敬史さんをはじめ歴代の主将たちを見てきてよく分かっていた。菅原宣宏監督から打診され、『やるしかない』という気持ちだった。中学、高校以来の主将。一人一人考え方を持った大人をまとめるということに難しさはあると思うが、自分自身をより成長させる意味でも精いっぱい全うしたい」
―理想とするリーダー像は。
「みんなを引っ張っていける、この人に任せておけば大丈夫と思われるようになりたい。6人のリーダーズグループも組織されているが、やっぱり主将の発信力が一番大切だと考えている。今まで以上に日々の練習の雰囲気や試合時の流れなど、目に見えない部分での気付きを大切にしていきたい」
―クラブ化1年目の思いを。
「自分自身は2011年に前身の王子に入団して11年目を迎えた。6月から新しいトレーナーさんの指導の下での陸上トレーニングや、使用しなくなったチーム合宿所に替わる食事会場への行き来など、すでに取り巻く環境が大きく変化している。気持ちとしては入団1年目、小学校1年生のようなわくわく感がある」
―日本アイスホッケー界の現状をどう見ているか。
「自分は子どもの頃にアジアリーグの選手に憧れて、必死に練習してきた。いざ夢をかなえて逆の立場になったとき、競技を志す子どもたちが自分たちの姿を見てアジアリーガーになりたいかという疑問が、そのまま日本アイスホッケー界の現状に直結していると思う。力のある選手が大学までに一線から退き、一般企業に勤めるなど、トップリーグが夢のある舞台になっていない。やっぱりアイスホッケー選手は格好いいと思われるような姿を、もっともっと発信していく必要がある」
―21~22シーズンへの意気込み。
「選手たちは日々、クラブチームになって新たにできることを模索しながら過ごしている。インターネット交流サイト(SNS)一つとっても、選手個々人がアイスホッケーの魅力を伝えられる手段はある。今までテレビや新聞だけで競技を見ていた人が、リンクに足を運んでもらえるようにしたい。苫小牧を中心とした北海道全体、アイスホッケーの文化が根付いていない地域も巻き込んで、アジアリーグがビッグイベントになるようにしたい」
橋本僚(はしもと・りょう) 1992年10月、後志管内岩内町生まれのディフェンス。北海高校卒業後の2011年に前王子イーグルスに入団した。19~20シーズンのアジアリーグレギュラーリーグでベストDFを初受賞。昨季は、9得点26アシストと最多ポイントの中島彰吾に次ぐ2位のポイント数を稼ぐなど攻撃面でも多大な貢献をし、2年連続のベストDFに輝いた。