5回にわたり掲載した本コラムの最終回は、歯のメンテナンスについてお伝えします。皆さんも人生に1度は、歯科治療の経験があるかと思います。小さなむし歯であれば白い詰め物、より大きなむし歯には金属などの詰め物やかぶせ物が、さらに進行したむし歯の場合には、歯の中の神経の処置、あるいは抜歯となってしまった方もいるのではないでしょうか。
治療の大小にかかわらず、人工物が口腔(こうくう)内に装着されてしまうと、その周囲からむし歯の拡大、歯が欠けるといったトラブルを起こしやすくなってしまいます。歯科医が細心の注意を払って治療をしたとしても、どんなに高額なかぶせ物を装着したとしても、ご自身でしっかりと歯ブラシを行っていたとしても、しょせん人工物であることには変わらず、生まれ持った天然の歯には、かなわないのです。
口の中は熱いお茶を飲むと80度近く、かき氷を食べると氷点下の温度にさらされます。硬いものをかむこともあるでしょうし、ストレスから食いしばりや歯ぎしりをすることもあります。このように口の中は過酷な状況下となり、天然の歯でさえも力負けしてしまうのですから、人工物ではなおさらです。人工物がお口の中に装着されたのならば、それで安心せずに装着したものが長く機能できるように管理する必要があります。
その一役を担うのが、メンテナンスです。前述のように厳しい環境に置かれている歯が、きちんと長持ちできるような予防や点検、不幸にも悪化してしまった場合も、大規模な治療とならないよう早めに対処を行っていくことです。予防こそが最も大切です。歯と口の健康週間を機に、定期的な歯科受診をしてみてはいかがでしょうか。
(苫小牧歯科医師会地域保健部会)
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