苫小牧市内の釣り人がこのほど、浜厚真沖でマコガレイとみられる魚を釣り上げ、本紙釣り倶楽部に情報を寄せた。マコガレイと言えば、大分県の「城下かれい」が有名。「見慣れない魚」に戸惑った釣り人の連絡を受けて、研究機関に相談した。見立て通りにマコガレイならば海釣りファンにはうれしい高級魚だ。
このカレイは市内新明町の会社役員、石黒照海さん(67)が釣り上げた。マガレイを狙って浜厚真沖の水深20メートルラインを流し、早朝からダブル、トリプルでマガレイ、ソウハチを中心にイシモチ交じりでコンスタントに釣った。潮もうねりも風も「今季一番」というほど穏やかな日和で、”外道”のカジカが少なかったのも幸いして乗船した3人は順調に釣果を重ねた。
午前9時すぎ、小さな魚信があり、それほど手応えもなく天秤仕掛けを巻き上げると、見たことのないカレイが掛かっていた。「ひと目見て変なカレイと思った。(有眼側)表面のうろこがざらざらし、裏側は白。背びれは条紋がなく黄色っぽい。40年以上釣りをしていて初めて見た」と石黒さん。条紋がないためクロガシラでもマツカワでもカワガレイでもなく、かといってアサバガレイやマガレイ、オヒョウ、イシモチの特徴もない。「調べる方法はないだろうか」と本紙に相談を寄せた。
本紙は、道立総合研究機構の栽培水産試験場(室蘭市)に事情を話し協力を頂いた。カレイの画像データを提供し、外観上の特徴などを説明。結果は、非公式の参考意見の扱いで「マコガレイの可能性が高い」との見解だった。併せて「ひれに明瞭な模様の出ないクロガシラの可能性も否定できない」との意見も示された。
北海道水産林務部がホームページに開設している「北海道お魚図鑑」によると、マコガレイはマガレイやクロガシラに似た体形で、「『両目の間にうろこがあること』『背びれと尻びれに黒色の条紋がないこと』などで区別される」という。生息の北限は渡島、胆振、日高。漁場は、道内では津軽海峡の木古内湾と函館湾に限られている。
マコガレイは高級魚で、城下かれいの認知度は全国的にも極めて高い。卸価格も2020年の東京・豊洲市場の取引価格を見ると、旬だと1キロ1100円以上になる。道内では渡島管内の知内町が「天下の絶品 知内真子鰈」名でブランド化に力を入れている。
インターネットで検索すると、苫小牧港・東港内の投げ釣りなどでも釣果報告が上がっている。ただ、漁業者でも確実に判別するのはなかなか難しいという。多彩な料理に対応できる高級魚だけに、船釣りや投げ釣り愛好者には気になるターゲットといえそうだ。