6月4日は、その語呂合わせから「むし歯予防の日」と言われており、日本歯科医師会は「歯と口の健康週間」(6月4日~10日)に合わせ、5月下旬~6月上旬にかけて啓発活動を行っております。苫小牧歯科医師会も、かつては「歯の健康まつり」、近年では「歯っぴいフェスタ」と題し、フッ化物の塗布や歯科健診、小学生対象の図画ポスターコンクール、北海道歯科衛生士会苫小牧支部や苫小牧歯科技工士会による展示などを共催して行ってまいりました。
しかし、新型コロナウイルス感染症のまん延を受け、2020年のイベントは中止。21年も緊急事態宣言延長のため、残念ながら2年続けて中止となってしまいました。そこで、今年は「歯っぴいフェスタ」に代わり、苫小牧民報の紙面上にて、歯と口および全身の健康にまつわるコラムを全5回で掲載することと致しました。
◇ ◇
第1回は、昨今のコロナ禍でマスク着用の頻度が高くなっていることから、これにまつわるお口のトラブルについてご紹介しようと思います。
皆さんも感じているかもしれませんが、マスクで鼻と口を覆うことにより、息苦しさを感じることはないでしょうか?
鼻と口が覆われることで、空気が入りにくくなるため息苦しさを感じる訳ですが、人間は呼吸が苦しくなると、口で呼吸する頻度が多くなります。鼻で呼吸すると、空気は鼻腔、気道を経て肺へ届くのですが、鼻腔を通ることで、鼻毛によるフィルター効果や副鼻腔での加湿を受け、温められた優しい空気が肺へ入ることになります。ところが、口から空気を吸い込んだ場合、空気をろ過する鼻毛などのフィルターがなく、直接外気が肺に入るため、風邪を引いたりウイルスに感染しやすくなったりします。
また、口は閉じていることで湿潤を保ち、雑菌が繁殖しにくいようになっていますが、口呼吸によって乾燥し、より雑菌が増殖しやすくなります。マスクを着用すると、口臭が強くなってしまうのは、これも原因となっている可能性があります。マスクをしていても、しっかり口を閉じてしっかり鼻で呼吸をして、ウイルスや細菌などを極力、体の中に入れない努力をしていきましょう。
(苫小牧歯科医師会地域保健部会)