Q…カッコウは自分で子育てをしないと聞きました。なぜでしょう?
A…カッコウはホトトギス科に属するハトくらいの大きさの夏鳥で、越冬地の東南アジアなどから5月20日前後に飛来します。この時期になると「カッコウ、カッコウ」という独特の鳴き声が聞かれるようになります。カッコウがにぎやかに鳴き始めると、霜の心配が少なくなって種や苗を植え始められることから、農家ではカッコウを「種まき鳥」と呼ぶことがあります。
カッコウが生息するのは平地から山地の草原や明るい林などで、他の野鳥の巣に卵を産み付けて子育てをさせる「托卵」という習性を持っています。自分で子育てせず、他の野鳥に子育をさせるのです。
国内に生息する野鳥で托卵をするのはホトトギス科のカッコウ、ツツドリ、ホトトギス、ジュウイチの4種類です。それぞれ托卵する野鳥が違い、数種類の野鳥に托卵します。カッコウは最も多くの種類の野鳥に托卵し、28種類の野鳥に托卵したことが知られています。カッコウに姿がよく似た野鳥にツツドリがいて、区別することは難しいですが、ツツドリは平地から山地の森林に生息し「ぽぽぽ、ぽぽぽ」と鳴きます。
托卵は楽に思えますが、親鳥に見つかると猛烈な攻撃を受けて失敗する確率は高いし、卵を産み付けるタイミングやヒナがかえる時期がずれると子育てをしてもらえません。カッコウが托卵という習性を身に付けた理由は、体温の変動が大きくて卵を温められないためだとする説があります。しかし托卵を行うようになった理由や経過は未だに解明されていません。謎なんです。
(文とイラスト ゆうふつ原野自然情報センター・村井雅之)=随時掲載