5 工夫重ね教育活動 感染対策との両立に努力

  • 3度目の緊急事態宣言 コロナ感染急拡大, 特集
  • 2021年5月21日
座席の間隔や窓を開けて換気しながら授業を受ける生徒たち=苫小牧緑陵中

  新型コロナウイルス感染症が流行し始めた昨春、全国の小中学校は一斉休校した。子どもの学びに与える影響は大きく、文部科学省はコロナ下でも持続的に学校運営できるよう、指針や衛生管理マニュアルをまとめた。児童や生徒の感染経路は家庭内感染が大部分であることを踏まえ、休校は「学びの保障や心身への影響から避けるべき」と結論。苫小牧市内の小中学校もこの約1年、工夫しながら教育活動を続けてきた。感染力が高いとされる変異株が広がる中、対策を再徹底して授業に臨んでいる。

  ◇

   苫小牧市内の小中学校も昨年2月27日から5月31日まではほぼ休校したが、6月以降は感染状況にかかわらず授業を続けている。座席間隔を離し、窓を開けて換気するなど、コロナ対策を続けてきた。

   苫小牧泉野小学校(東峰秀樹校長、児童数459人)は「密」になりがちな理科の実験も、離れて座るよう徹底し、話し合いの活動も短時間にとどめるなど工夫を重ねてきた。

   今年度は、昨年できなかった遠足を21日に実施。昼食時は円座にならないようにし、同じ方角を向いて黙食するなど、コロナ下ならではの光景が広がったが、東峰校長は「十分に感染対策を講じてできる」とほっと胸をなで下ろした。

   6月には運動会も予定。2学年ずつ分散し、児童・保護者が入れ替え制で行う。昨年はほぼできなかったクラブ活動も再開し、「異学年の交流や多様な経験の中で、子どもの成長につなげたい」としている。

   市教育委員会は緊急事態宣言の発令中(31日まで)、運動会や体育大会を中止または延期するよう通知した。一方で、感染対策を講じられる場合は実施を認めており、予定通り実施する学校もあるという。

   ただ、コロナ感染防止があくまでも最優先。苫小牧緑陵中学校(荒川歩校長、生徒数270人)は18~20日に予定していた3年生の修学旅行を延期した。

   荒川校長は生徒たちに事情を説明したが「がっかりした様子で、元気はなかった」。延期日はコロナ情勢を踏まえて調整するが「何とか行かせてあげたい」と強調する。

   同校は体育館も収容上限300人程度に満たない狭さで、「全校で体育館に集まることは今年も難しい」という。生徒同士の距離が十分に確保できない行事には慎重に取り組む姿勢で、生徒総会は校内放送で実施し、体育祭も保護者参観を見送った。

   荒川校長は「3密を防いだり、十分な換気をしたりと、予防策ができるかできないかが(実施可否の)基準となる」と話す。生徒の安全・安心に配慮しながら、感染対策と教育活動を両立させるための努力が続く。

過去30日間の紙面が閲覧可能です。