新型コロナウイルスによる政府の緊急事態宣言が16日から北海道に適用されたことを受けて、苫小牧市内の中学校部活動や公共運動施設が今月末まで休止、休館する。各種大会出場を見据えて技量向上に励んできた生徒、選手たちの研さんの場が再び奪われる事態。各競技関係者は「仕方がない」と理解を示しながらも、宣言解除の見通しが立たない状況下で苦悩している。
ウトナイ中卓球部は5月初旬の春季大会女子団体を制するなど、6月からスタートする中学校体育大会で躍進が期待されていた。日向寺葉奈女子主将(3年)が「全道優勝を目指している」と意気込むように、宣言前最後の練習となった15日も部員全員がマスクを着用しながら精力的にメニューをこなした。
17日に部活動休止の説明を行った青木一茂顧問は「とてもがっかりしていた」と生徒の様子を振り返る。例年は他地区に出向いて練習試合を重ねるなど、実戦経験を養う重要な時期。「大会が無くなったわけではないが、宣言の5月末までにコロナが収まるか心配」と言う。
部活動の停止については苫小牧開成中ソフトテニスクラブの菅原正樹顧問も「つい先日も大会を開いていたので、生徒は驚いているのでは」とおもんぱかる。15日には苫小牧市緑ケ丘公園庭球場で苫小牧地区選手権大会が開かれていた。
東胆振中学体育大会が6月12、13両日に同庭球場で行われる予定。中体連専門委員長も務める菅原顧問は「まずは感染しないことが重要」としながら「感染対策を徹底して3年生にとって中学校最後の大会を開催したい」と語った。
バスケットボールも同じく12日に開幕する予定。明倫中女子バスケットボール部の石動祐介顧問は、大会を来月に控える中で練習が止まることを懸念。「5対5の練習ができなくなるとチームづくりには大きなマイナスとなる」と話した。
市内や近郊の公共運動施設を利用する小中学生向けのクラブチームも、施設休館に伴い活動がストップした。苫小牧ジュニアバドミントンクラブの松尾必勝代表は「子どもたちの安全を思えば(休館は)仕方のないこと」としながら、「技術面よりモチベーションの低下など心の面が心配」と話す。
所属選手20人の中には、中学校体育大会や小学年代の南北海道大会(6月、小樽市)を控える選手が多い。南大会の女子Bの部(3・4年)シングルスに出場予定の中川桜花(日新4年)は「みんなと練習や試合がしたかったので寂しい。家で素振りや壁打ちを頑張って、大会でベスト8に入れるようにしたい」と意気込む。
22人の小中学生が在籍する卓球の北海道菊卓会は16日、市内のコミュニティセンターで「2021年5月16日杯」を開き、ささやかながら所属生の実戦の場を提供した。同日は帯広市で開催される小学年代の全道大会に出場しているはずだったが、感染症まん延のため2年連続の大会中止。菊池吉幸代表は「6月の活動再開を信じて技術、体力を少しでも維持してほしい」と呼び掛ける。
道大会に挑戦できる最後の年だった近田彩梨(澄川6年)は「残念だけど仕方がない。ランニングや筋力トレーニングで体力を付けたい」。中学校体育大会出場を控える越智陸斗(光洋3年)は「自分でできる限りのトレーニングを積む」と前を向いた。