春のカレイ釣りシーズン真っ盛り―。苫小牧をはじめ胆振の海岸、港の投げ釣りでのんびりとカレイを狙う愛好者の姿がちらほら見られるようになった。大型連休明けの5月上旬、手軽にカレイ釣りが楽しめて釣果も期待できる伊達市の黄金漁港を訪ねた。
好天の日には噴火湾の向こう、海の上に駒ケ岳のシルエットを見ることができる風光明媚(めいび)な伊達海岸。懐の深い湾の沿岸だけに太平洋がしけていても穏やかな波で釣りを楽しめることが多い。黄金漁港周辺は砂浜の海岸で、遠浅の海底に海藻や小さな岩礁のばら根が点在する。各種カレイやヒラメ、根魚が居付く好漁場だ。
この日は南防波堤と、足場が高く消波ブロック越しの投げ釣りとなる西防波堤に3組が入っていた。駐車スペースに近く、外海側に消波ブロックのないのは南防波堤で、大人の胸ほどの高さの胸壁から外海に投げ込めるとあって初心者や家族連れに人気のポイント。イシモチやスナガレイが釣れる。季節やタイミングが合えば、防波堤の港内側で根魚やチカも狙える。
投げざおを2本出していた男性2人組に話を聞いた。カレイ釣りで登別市から来たという。「室蘭港も考えて途中に立ち寄ったが、釣れていなかった。黄金は入釣しやすいし、前に結構釣れたから」と言う。午前10時に到着して午前中にスナガレイ1匹、午後2時すぎにイシモチ1匹が上がった。スナガレイはリリースし、28センチのイシモチはキープした。餌はイソメ。仕掛けは市販のカレイ用を使う。
南東の風がやや強いため、2人は基部側の高さのある胸壁のたもとに椅子を用意し、風を避けて5月のぽかぽか陽気の下でのんびりとさお先の動きを確認していた。「黄金漁港の釣りは手軽な上に釣れないことがないからいい。地元はさっぱり釣れなくなりましたね」と嘆きながらも、気持ちよさそうに釣りを楽しんでいた。
黄金漁港は、場所によっては遠投でマガレイが釣れる。ベテラン愛好者が好んで入釣する西防波堤の先端と曲がりの角がポイントだが、足場が高く、スペースも狭い。取り込みには7メートル程度の長いたも網が必須。漁船が通過する船道にラインが掛かる場合もあり、仕掛けの回収のタイミングに神経を使うなど、ベテラン向きの場所だ。
幸運なら数釣りできることもある黄金漁港。近年、初夏以降は餌取りのフグがうるさいため、カレイ釣りは春から初夏が適季だ。