Q…林の中を2センチほどの毛玉ような虫が飛び回っています。何でしょうか?
A…早春に林を飛び回っている毛玉のような虫はマルハナバチだと思います。
マルハナバチは蜜や花粉を求めて花を訪れるミツバチの仲間で、勇払原野周辺にはエゾオオマルハナバチなど9種類が生息しています。
体を覆っている体毛は防寒に役立っていて、気温の低い早春から活動することができます。クマのように毛深い姿から「クマバチ」と呼ばれることがありますが、クマバチは北海道に生息していません。
生態系に悪影響があるとしてセイヨウオオマルハナバチが問題になっています。セイヨウオオマルハナバチはエゾオオマルハナバチに似ていますが、腹部の先端が白いので区別できます。
セイヨウオオマルハナバチは、ヨーロッパに生息しているハナバチで、受粉能力が高く、人工繁殖が容易なことから、果樹や野菜の受粉用として商品化されました。日本では1992年からハウス栽培トマトの受粉用にベルギーなどから輸入されるようになりました。96年に野生化していることが確かめられ、現在では全道各地に生息するようになり、問題視されています。
植物と昆虫は、植物が蜜や花粉を昆虫に提供し、植物は昆虫に受粉を助けてもらうという共生関係にあります。昆虫がいなくなれば植物が無くなってしまいます。
体も羽音も大きくて怖そうなマルハナバチですが、捕まえたりしなければ刺すことはありません。見つけてもむやみに殺さないようにしましょう。
(文とイラスト ゆうふつ原野自然情報センター・村井雅之)=随時掲載