「5月10日」という日を前に 愛鳥週間とネイチャーセンターオープン

  • レンジャー通信, 特集
  • 2021年5月7日
オープンから40年を迎えたネイチャーセンター

  本格的な春を迎えつつある今、植物は芽吹き、夏鳥の初認が続くなど、ウトナイ湖周辺の様子は毎日、目まぐるしく変化しています。そんな中で、ネイチャーセンターは一昨日までの5連休に多くの来館者を迎えました。距離を保ちながらの散策途中に立ち寄った方からは、「ウグイスのさえずりを聞いたよ。姿は見られなかったけどね」といったうれしい一報もありました。皆さんそれぞれに移りゆく春を楽しんでいらっしゃったようです。

   さて、連休明けの10日は、私たちにとって意味深い、二つの記念日です。一つはバードウイークの初日。よく知られた記念週間ですが、その始まりは北海道とも関係があるようで、それは…戦後間もない1947年、野鳥保護思想の普及のため、米国のバードデイに倣って4月10日と決めたが、北海道はまだ冬景色で夏鳥も渡来していない季節。また、一日だけでは足りないということで、3年後に「5月10日からの1週間」になった…のだとか。確かに5月中旬は、ウトナイ湖でもさえずりがよく聞かれ、葉も茂る前なので姿を見つけやすく、野鳥に関心を持ってもらうのに良い時期といえます。

   もう一つはウトナイ湖サンクチュアリが開設された日。ネイチャーセンターは、81年の、この日にオープンしました。全国から寄せられた約1億円の募金を基に建てられたもので、外壁にはボランティアの焼いた丸太が張り付けられ、自然に溶け込むよう施した外観が特徴的でした。開館前なのに火事で焼けてしまったのかとうわさになったことも、逸話として残っています。

   日本野鳥の会が、苫小牧市をはじめ多くの方々のご支援を受けながら、自然保護や環境教育の拠点とすべく、第1号のサンクチュアリを開設して40年。これまでにウトナイ湖のラムサール条約湿地登録や千歳川放水路計画への対応など、さまざまな足跡を残してきました。改めて皆さまに深く感謝するとともに、現在取り組んでいる、ウトナイ湖周辺に広がる勇払原野の保全活動に力を尽くしたいと、身の引き締まる思いです。

   開設40周年を記念する企画は、すでにネイチャーセンターで開催しているパネル展を皮切りに、16日の「美々川すいすいツアー」、7月の「勇払原野とことこツアー」、ウトナイ湖のラムサール条約湿地登録30周年も合わせ、11月に市と共催する予定のシンポジウム、と続きます。どうぞお楽しみに。

  (日本野鳥の会 ウトナイ湖サンクチュアリ・中村聡レンジャー)

過去30日間の紙面が閲覧可能です。