新型コロナウイルス禍でのスポーツ活動が2年目に入った。政府の緊急事態宣言による学校休校に伴う部活動停止や各種大会の中止、運動施設休館など翻弄(ほんろう)された一年を糧に、全国初のスポーツ都市宣言を行った苫小牧では感染症と向き合いながら、スポーツを通じた「健康でたくましい心と体づくり」への歩みが再び始まっている。
苫小牧を拠点に活動する柔道の尚志館當摩道場では、所属生全員がマスクを着用しながら体一つで激しくぶつかり合う競技に黙々と打ち込んでいる。
昨年度はほぼすべての参加予定大会が中止に。全日本柔道連盟の指針によって、一時は乱取りなど柔道の基礎となる組み合っての練習ができないこともあった。水見秀紀代表は「目標を見失い、柔道自体をやめた人もいた」と明かす。札幌や旭川ではコロナの影響で所属生が減るなどし、解散した道場もあったという。
登別緑陽中の藤野遥士(2年)は「目の前に試合がないのは本当に大変だった。長い準備期間だと思って、練習を楽しもうと気持ちを切り替えてきた」と話す。
道場内の換気と所属生の手指消毒はもちろん、畳の消毒も練習メニューの合間に欠かさず実施し、感染症予防に努める。3月にようやく小学年代の道大会(千歳市)が開催され喜びに浸った一方、「自分の力をうまく発揮できない選手が多かった」と水見代表はコロナ禍の後遺症を口にする。
昨年は自粛していたクラブ生募集を再開させるなど、再び競技普及にも力を入れる考え。「柔道の楽しさや感謝の心、スポーツに励む大切さを伝えていきたい」と語った。
駒大苫小牧高校野球部は今年1月、部独自の感染症対策ガイドラインを設定した。屋内外を問わず練習時はマスク着用を徹底する他、71人いる部員を3班に分散させて密を避ける。検温も毎日欠かさず行い、体調不良者は活動参加を自粛させている。
部員の9割近くが暮らす寮内は、1人1部屋の自室以外ではマスク着用だ。食堂には飛沫(ひまつ)防止のついたてを卓上に設置するなど、感染症予防に余念がない。
毎年3月と5月に行う道外遠征は取り止めとした。チームの成熟度は例年に比べ遅いというが、佐々木孝介監督は「自分たちの行動が大会開催に直結する意識を持ってほしい。強くなるよりも、まずは大会が開かれることが一番」と話す。三次陸矢副主将(3年)は「マスクで息苦しさや意思疎通の難しさはあるが、夏の甲子園出場に向けて頑張っていきたい」と意気込む。
光洋中女子バスケットボール部は文部科学省のガイドラインに基づいて練習時はマスクを外すが、顧問がメニューを伝える集合時など密集しての発声は禁止している。細かくコミニュケーションを取ることが重要な団体競技。関祥子顧問は「対策の難しさをいまも感じている」と言う。
昨年は多くの実戦機会を失い、ガイドラインの方針によって対人練習やボールを共有するパスすらもできないこともあった。それでも中谷空主将(3年)は「限られた練習を集中して取り組めた」と胸を張る。コロナ禍で迎える集大成の一年は「楽しみながら頑張りたい」と前向きに語った。