しけや濁り水の影響で3月下旬以降、芳しい釣果が聞かれなかった苫小牧海域の沖ソウハチが4月中旬、久しぶりの好釣果に恵まれた。本紙釣り倶楽部の情報協力船で苫小牧港・西港所属の遊漁船「かつえい丸」(田代健二船長)が10、11の両日、勇払沖で3桁釣りとなり、40センチ級も交じっての大漁となった。愛好者たちは船釣りの醍醐味(だいごみ)を堪能した。
例年、好釣果が期待できる春の沖ソウハチだが、今季は3月下旬から4月上旬、かつてないほどの水の濁りとしけで不漁が続いた。時期的には雪代水が原因とみられるものの、かつてないほど沖合で長期に濁り、沖ソウハチやサクラマスの釣果に影響が出ていた。
かつえい丸は濁りが落ち着いた10、11日に出船。僚船の情報から勇払沖水深50メートルラインでソウハチを狙った。早朝は浅めの棚で35センチサイズの良型がポツポツと上がったものの活性は低く、数時間で1人平均20~30匹とさえない。
このため午前9時すぎ、より沖に移動して再開すると、高活性の群れの層に当たり、一転して入れ食いの数釣りモードに。サイズはやや小さくなったものの、2時間弱で乗船者全員が3桁まで釣果を積み上げた。
今季2度目の沖ソウハチ狙いだった苫小牧市植苗の石井正さん(68)は、サビキ6本針、ピンクのフラッシャー付き仕掛けを使用。餌は紅イカ。「船上では120匹まで数えたが、その先は分からなくなった」と話し、後半は大漁で忙しい釣りとなったよう。帰宅後に数え直すと持ち帰った魚は160匹余り。取り込みの際にばらした魚が随分いた上、仕掛けを投じて十数秒で針数の魚が付いたことも。ソウハチの食い気は相当立っていたとみられる。
釣った魚のほとんどは知人にお裾分けした。自宅に残したのは十数匹で、日干しを薫製にして晩酌のあてで楽しんでいる。
今季は大物の情報も多い。千歳市の服部賢二さん(66)は3月上旬に47センチを釣り上げた。かつえい丸の今季の最大記録だ。「マガレイで50センチ超はあるけれど、ソウハチでこのサイズは珍しい」と喜ぶ服部さん。この時は70~80メートルの底釣りで、「初めは根掛かりと思った」と言う。リールを巻くと少しずつ上がるため「マダラが掛かったと思っていたらソウハチが浮いてびっくりした」と振り返った。
服部さんは「船上で締めて血抜きをし、もちろん刺し身で食べた」と自慢げ。釣り人冥利(みょうり)に尽きる、良型ソウハチでしか味わえない上品で癖のない甘みに大満足した。