太陽味方にブラウン攻略 わずかな水温の上昇狙う

  • 釣り
  • 2021年4月22日
天候の変化で活性化し、フライに反応したブラウントラウト

  寒気と暖気がせめぎあうこの時期の釣りは、タイミングが釣果を大きく左右する。曇った寒い日は水温が上がらず魚の活性は低いが、太陽が顔を出すと状況は一変する。わずかな水温の上昇が、ユスリカなどの水生昆虫のハッチを促し、深い川底にへばり付いていた魚を引っ張り出してくれる。

   4月のある日、記者は早春によく釣りをしている近郊河川に入渓した。時刻は午前10時すぎ。前夜に雨を降らせた分厚い雲がどんよりと空を覆い、周囲は薄暗い。おまけにとても寒く、グローブを忘れた手はかじかみ指の自由が利かない。グローブボックスの中をあさってみると軍手が出てきた。かなり汚れていたが、無いよりはましなので代用することにした。

   さおは7・6フィート#4のグラスロッド。ドライフライで釣れるような状況ではないので、ファストシンクのシンキングリーダーにフロロカーボン5Xのティペットをつなぎ#16ユスリカウエットフライを結んだ。

   水温計を入れると6度を示した。厳しい戦いになりそうだ。深みやヨシ際を中心にフライを沈ませながら丁寧に探り、釣り下ったが予想通り魚の反応は全くない。らちが明かないので、昼には早かったが一度車に戻ることにした。天気予報では午後から晴れ間が出るはずだった。釣りを続けるかどうか悩みながらカップラーメンを食べていると、雲が切れ始めて時々日が差すようになった。気温は低いが太陽が出るとやはり暖かい。そのまま帰るのは悔しいので、再び同じ区間を攻めてみることにした。

   日の当たっている谷はとても爽やかで優しく、先ほどとは印象が全く違う。しばらくするとヨシの際でその日初めて見るライズが起こった。ふと気が付くと、いつの間にか小さなユスリカもハッチしていた。慌ててリーダーをスローシンクに交換し、水面直下をキープしながらライズに向けてフライを送り込んだ。

   見事なヘッド&テイルを見せて一発でヒット。魚体をくねらせて暴れる魚を引き寄せて無事にキャッチ。30センチほどのブラウントラウトだった。とても貴重な一匹。やはり早春の釣りは太陽を味方に付けることが釣果アップの大きな鍵になる。

  (大中吉隆)

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