Q…4月になると野鳥たちのさえずりが盛んになり、春の訪れを実感させてくれます。野鳥は、なぜ長く複雑なさえずりができるのですか?
A…私たちは、息を吐くとき声帯を震わせることで発声しますが、鳥類は「鳴菅(めいかん)と呼ばれる器官を使って、息を吸うときも吐くときも発声することができます。そのため息継ぎすることなく、長くて複雑なさえずりをすることができます。
鳴菅のある場所は鳥類によって違い、気管にあるものや気管支にあるもの、気管と気管支の両方にあるものがいて、気管と気管支に鳴菅のある鳥類は複雑な和音を出すことができます。ちなみ鳴菅が発達している鳥類を鳴禽類(めいきんるい)と呼び、シジュウカラやスズメ、キビタキなどを含むスズメ亜目の鳥類のことをいいます。
野鳥の鳴き声は、一年中聞かれる「地鳴き」と繁殖期にしか聞かれない「さえずり」に分けられます。春から初夏にしか聞くことができない雄のさえずりは、雌への求愛と縄張り宣言が主な目的です。種類によって違うさえずりは、同じ種類の鳴き声をまねすることで学習します。生まれながらにして基本になる鳴き声を覚えているので、違う種類の野鳥が近くで鳴いていても間違えて覚えることはありません。
4月を過ぎると野鳥のさえずりがにぎやかになります。さえずりを楽しむには朝(特に早朝)や夕方が良いでしょう。苫小牧市周辺の緑ケ丘公園や錦大沼公園などへ散歩に出掛けてみましょう。春の訪れを実感できます。◇
ゆうふつ原野自然情報センターの村井雅之さんが、動植物や自然に関する素朴な疑問に答える(イラストも村井さん)=随時掲載