ありがとうの効果って何だろう? ありがとうノート? 自然と不思議が湧き上がってきて本のページを開いた瞬間からワクワクした。
この本は障害のある少年が「ありがとう」に対する考え方が変わっていく物語だ。
主人公の少年は、「生まれてこなければ良かった」と思うほど絶望を感じたり、「ありがとう」にうんざりしたりするけど、その回数分誰かに助けられていたのではないだろうか。僕も同じだ。大人だって最初は誰かに助けられていたはずだ。助けてもらった回数とありがとうを言った回数は同じで、出来ない事を助けてもらうわけだから、出来ない事の回数とありがとうを言う回数も同じだ。自分の出来る事を増やしていくために人は成長していくのではないか。しかしどんなにスゴイ武将でも天才でも必ず失敗はある。その失敗を次にどう生かすかを考えることで成長する事ができるのではないだろうか。
「ありがとう」。この言葉が、人と人をつなぐきっかけを作る事ができると知った。本を読む前、新しく始めた習い事には、自分にまだ友達がいなかった。そんな時、この本を読み「ありがとう」の効果を知った。ある日、偶然隣の人が忘れ物をした事がきっかけで貸したら、「ありがとう」をもらった。とても嬉しかった。それ以来、お互いに助け合うようになって、今はまだ丁寧な言葉を交わす仲だけど、もっと打ち解けたい、もっと友達をつくりたいと思った。
テオは自立したいという意思からたくさんチャレンジしている。自分もチャレンジはするけど、苦手な事は人に頼ってしまっていた。家庭科の裁縫の時も、紙が絡んで失敗した。でも学校の先生からもらったプリントに、
「苦手な事でも本気でやろう」と書かれていたのが自分の心にずしっときて、それ以来、どんなに苦手な事でも本気を出してやっている。だからもし落ち込んでいる時の彼に声をかける事が出来たら「本気を出してそれでも出来ない事は仕方ない。障害という個性を持っている人もいない人も出来ることはたくさんあるよ。生まれてきただけで大当たりだよ」と言いたい。
自分も彼のように数え切れないほど失敗してきた。でも半身まひで施設にいて上手く話せないぼくの祖父が、「do my best」と英語で言ってくれた。意味を聞いてみると、「ベストを尽くせ」という意味だった。僕は障害があってもベストを尽くそうとしている心掛けに感動した。障害のある人もない人も自分だけのプログラムを組んで、自分に今できることをすることが大切だと知ることができた。
障害で困っている人を笑顔にしたい。そう思ったきっかけは自分がバスを待っていたときのことだ。おばあちゃんが困っている様子だったので、「どうしましたか?」と、声をかけた。バスの行き方を教えるとうれしそうな顔で「ありがとう」を言ってくれた。それが印象に残っていてもっと笑顔の人が増えればいいのにと思った。例えば、笑顔で大きな声であいさつをしたり、バスで席を譲ることなどが出来るだろう。一人の行動がたくさんの人の笑顔につながるのではないか。
障害のある人もない人も夢を持つことが自分の成長を飛躍的に向上すると考えた。彼も夢がなかったから失敗してすぐにくじけていたのだと思う。自分も昨年の四月までは目標がなかった。しかし、先生に「目標を設定してみたら」とアドバイスをもらった。すぐにやってみると、目標を達成できた。それ以来、常に目標がある状態にしていることでレベルアップしている。
主人公は、自分の力だけで洋服を着替えた時すごく喜んでいた。僕も実際に主人公と同じく右手だけで着替えてみたら、時間がかかるどころか出来なかった。「やっぱり努力は裏切らないんだな」と改めて感じた。
僕はこの本を読み、自分のまだ出来ていない可能性を見出し、他人に必要とされる大人になりたい。必要とされる大人になったら大事な仕事を任せられたり、人に信用されたりすると思ったからだ。その為には「一」という考え方だけでなく「二、三」といった考え方を取り入れることが大切だと思う。
最初から完璧な人間はいない。甘えに気付きもがいて苦しみ、努力することで輝く事が出来ると教えてくれた大切な一冊だ。これは自分に成長の悩みを感じている人に読んでもらい自分に可能性を感じてほしい。そうすることで、人それぞれの個性を社会の為に使うと良いと思う。
自分は今まで己の甘さに負けていた。でも、もう今は違う。今までの失敗を大きなばねとして次に生かすという自分だけのプログラムを立てることができた。あとはひたすら努力をして最高の結果を生み出したい。
(おわり)