ばあちゃん子は3文安いそうだ。貨幣価値がどの程度の時代の言葉か知らないが、それでもかわいいという祖母なら身近に何人もいる。
三文判、三文オペラ、三文小説、三文文士、二束三文、早起きは三文の得など三文の付く言葉は多い。「1文銭3枚、極めて安いこと」と辞典にある。値にたいした違いはないという解釈もできるし何の値もないという厳しい意味もあるようだ。
自民党の議員有志が先日、菅首相に「子ども庁」の創設を要請したという。少子化、虐待や自殺の増加など子どもをめぐる深刻な問題が多い。文部科学省や厚生労働省、内閣府など旧来の分担ではなく、専門的に取り組む省庁を設置し、大臣を置くべき―との要請。首相は、ただちに二階幹事長と会談し、積極的な検討を指示したそうだ。
信頼できる、効率的な行政の実現に異議はないが、総選挙に向けた話題づくりとの見方もある。「子どもは国の宝」とテレビで話す高齢の政治家がずるそうに見えたのは気のせいか。
孫の一人はサッカー少年。昨年まで2年連続で、脚を骨折した。先月、上半身が巨大なシャツで覆われた明るい笑顔の写真が家人のスマートフォンに届いた。体育の授業中に鎖骨を折ったという。問い合わせの電話に笑顔とは違う、大きな声が聞こえてきた。「おばァちゃん 痛いよォ」。サッカー選手としての値段は下がっても、この時代に、心から甘えられる能力には○。厳格な祖父の評価だ。(水)