大阪府豊中市に住む女子高生がアイヌ民族とマイノリティー(少数者)をテーマにした絵本の発行を計画している。4月から3年生になる岩見朱莉さん(17)。インターネットで資金調達するクラウドファンディングを活用して制作し、今年秋の完成と販売を目指すプロジェクトを立ち上げた。
先天性の難病を患う岩見さんは、幼い頃から入退院を繰り返した。骨折しやすい病気のため、健常の子どもたちと同じような体験ができず、マイノリティーという自身の境遇を意識するようになった。社会を見渡せば、多数者が少数者へ差別や偏見の目を向けるさまざまなマイノリティー問題が横たわる。自分も当事者として少しでも世の中を変えたいとの思いが、少数者として苦難の歴史を歩んだアイヌ民族への関心につながった。
岩見さんは、発達障害のある苫小牧市の女子児童の読書感想文に触発されて、アイヌ民族を描く絵本作りを思い立ち、準備に取り掛かっている。1日に取材で白老町を訪れ、アイヌ民族をルーツに持つ女性から子ども時代のつらい体験を聞き取りした。2日には民族共生象徴空間(ウポポイ)へ足を運んだ。あらゆる少数者への偏見や差別、社会的不平等は無知、無理解から生まれる。だから知ること、伝えることが大切と言う。
いろんな違いを尊重し、認め合う共生社会。その実現が夢と語り、マイノリティー問題を世に問い掛けようとする若い高校生の活躍を応援したい。(下)