今季不調のクロガシラ 本番入りに期待

  • 釣り
  • 2021年4月1日
海釣りの人気ポイント、苫小牧港・東港中央水路の一本防波堤
海釣りの人気ポイント、苫小牧港・東港中央水路の一本防波堤

  春の到来とともに本格化する釣りの一つがカレイのクロガシラ。太平洋に面する苫小牧地域は投げ釣りの愛好者が多く、クロガシラは人気の釣魚だ。体長が40センチを超えれば魚体は肉厚で、ヒットして巻き上げる際には海底に戻ろうと抵抗する「グン、グン」という差し込む手応えに醍醐味(だいごみ)がある。今季はまだ振るわないが、人気ポイント苫小牧港・東港の一本防波堤(内防波堤)では3月下旬の平日、一帯で数匹が上がった。遅れての本番入りに期待したい。

   「春は毎年、苫小牧に通う」と言う美唄市の男性は、早朝から一本防波堤に入釣。基部から100メートルほどの辺りに釣座を確保した。今季はこれまで2度、同防波堤でクロガシラを狙っているが、いずれも空振りだ。「こんなシーズンは今までない」というのは、東港をホームグラウンドにしている釣り人共通の印象。男性は毎年、このポイントで良型クロガシラを数釣りしているため、この日は”3度目の正直”と信じて4・25メートルのさおを3本出した。

   仕掛けは2本針の天秤仕掛け。仕掛けの針素にはエッグボールやビーズなど、キラキラ、ふわふわするマテリアルを付けている。食い気のあるカレイの興味をそそるためだ。天気は「南東の風が強く吹く予報」で、防波堤からだと正面の風になるため重りは33号の弾丸タイプ、ラインは風の影響を受けやすいポリエチレン素材のPEは使わずナイロンを選択し、大物に対応できる5号を巻いたスプールをリールにセットした。餌はイソメだ。

   初めのうちは、こませネットを仕掛けに連結して投じた。日本海方面の投げ釣りではこれがスタンダード。しかし「まったく当たりがない」ため、やはり魚影は薄いと判断。ネットや籠は投げる距離に大きな影響が出るため、途中からこませを打つのはやめた。

   待望の魚信は午前7時前。70~80メートル程度投げ込んでいたさおが揺れた。一本防波堤でのクロガシラ釣りは中央水路、港内側がポイントだ。足場は高く、消波ブロック越しの取り込みとなる。足元は不安定で転落事故の危険もあることから、男性は伸縮自在のたも網を使って難なく取り込んだ。

   東港での今季初クロガシラは40センチ弱。「小さいし、腹は薄い(産卵後)」とぼやきながら「家族から、本当に釣りに行ってるの―と、からかわれているのさ」と話し、してやったりの笑顔を見せた。

   この日は男性の隣でも中型が上がった。遠目でカレイを取り込んでいる釣り人もおり、一帯で数匹釣れたよう。入釣者が平日としても例年より少ないのは、苫小牧の釣況の厳しさが口コミで浸透しているためかもしれない。春本番には遠い苫小牧港のクロガシラだが、いくらか上向きの兆しと信じたい。

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