⑨夢実現へ努力続ける 「やり残したこと大学で」ー苫小牧中央高サッカー部 坂本准之介

  • コロナを糧に~巣立つ高校生アスリート, 特集
  • 2021年3月30日
大学へ進学してサッカーに打ち込もうとしている坂本
大学へ進学してサッカーに打ち込もうとしている坂本

  苫小牧中央高サッカー部の坂本准之介=さかもと・じゅんのすけ=(18)は高校部活動を引退してもなお心残りがあった。昨年の全国選手権道予選切符をすんでのところで逃したからだ。その悔しさから進学を決意し、4月に北洋大へと名称変更する苫小牧駒沢大に入学する。「大学ではチームの主力になりたい」と抱負を口にした。

   新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)された高校最終学年だった。新年度になってからの部活動自粛期間中は自宅での自主練習を強いられた。

   熱心にトレーニングはしてみたが「一人でやっていてもチームの連係ができるか不安だった」と当時の心境を振り返った。夏の全国高校総合体育大会(インターハイ)は中止になり、チームの士気はさらに下がった。「3年生として出場する大会がなくなったことはショックだった」と話す。

   残されたのは全国高校選手権大会だった。感染対策で練習時間の制限がある中で最後の大会に向けて練習に励んだ。「練習試合もできなかったけど、本番を想定した練習を集中して行う大切さに気が付いた」。質の高い練習を追求して時間の制約をカバーした。

   昨年9月に行われた苫小牧地区予選。無観客で行われた試合ではいつもあるはずの保護者らの声援は聞こえてこなかった。その分ベンチにいる仲間の声が耳に届いた。「ベンチからの声掛けに励まされた」。決勝まで勝ち進んだが、北海道栄に0―2で敗れ、涙をのんだ。全道大会まであと一歩及ばず、「自分たちの実力が足りなかった」と率直に受け止めた。

   もっと努力していれば―。そんな思いが大学進学を決意させた。当初は消防士を志して受験や専門学校進学を中心に進路を考えていたが、「部活動でやり残したことがある」と意欲が湧いた。

   チーム唯一の左利きで左サイドバックとしてプレー。「自分にしかできない左からのクロスを武器にしてきた」と話す。精神的な支柱としても存在感があり、筋力トレーニングではベンチプレス100キロを同学年の中で最初に達成した。「脚力や体幹を鍛え直して当たり負けのしない体をつくりたい」と向上心は尽きない。遠山満監督は「人一倍努力する生徒だった。大学でもレギュラーを目指して」と期待する。

   北海道学生サッカー連盟主催の3部リーグ道央ブロックに所属する北洋大。「いち早くレギュラーを獲得して2部昇格を目指す」。高校部活動での「忘れ物」を取りに行く構えだ。

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