いよいよ太平洋にも待望のサクラマスの便りが届き始めた。サクラマスと言えば、やはり釣り場は日本海に軍配が上がる。回遊に当たれば数釣りを楽しむことも可能で、しかもサイズが大きいのが特徴だ。俗に板マスと呼ばれる5キロ超えの魚体が釣れるのはほとんどが日本海だ。
だが太平洋も負けてはいられない。3キロを超えるプリプリの魚体はスタミナがあり、ヒット後の跳躍感あるダッシュは日本海に引けを取らない。そして何より釣り場が近い。ガソリン代がじわじわ値を上げている昨今、そのアドバンテージはとても大きい。
14日、苫小牧に住むIさんはサクラマスが入ったとの情報を聞き、自宅近くの港に来ていた。釣り人で混雑する午前中を避けて昼すぎに着くと、猛烈な風が吹き波も高く、普通ならフライができる状況ではなかった。
しかし、そんな環境の中でもアメマス釣りで腕を鳴らしているIさんには大した問題ではない。迷わず9フィート#9ロッドにシンクレートの大きなタイプ6ラインをガイドに通して岸壁に立った。
水の流れが速いため、リーダーは付けずにラインの先端に2Xティペットを直結びにしてカタクチイワシをイメージした#10オリジナルストリーマーを結び、キャストを開始した。風が強いのでIさんのキャスト力でも20メートルくらいしかフライが飛ばない。強引にターンオーバーさせて着水と同時に速いスピードでリトリーブを繰り返した。
間もなく、ラインを引いていた手がズンと止まった。反射的に合わせると魚が突然走り始めた。間違いない、サクラマスがヒットしたのだ。それほど大きくはないが、アメマスにはない鋭いファイトが特徴的だ。潮の流れが速く複雑なので、バレないように慎重に手元まで引き寄せてそのまま岸壁に抜き上げた。釣れたのはやはりサクラマスだ。30センチちょっとという小型サイズだったが、爆風が吹く中、岸壁上からフライで釣り上げたのがすごい。写真を撮ってすぐにリリースした。
この後、サクラマスは釣れなかったがアメマス2匹を追加して午後3時すぎに納かんした。4月に入れば苫小牧近郊のサーフでも大型サクラマスが釣れだすため、期待が膨らむIさんだった。(大中吉隆)