⑦合同チーム一員の3年間「離れても、仲間の存在身近に」 白老東高野球部・横山勇覇

  • コロナを糧に~巣立つ高校生アスリート, 特集
  • 2021年3月24日
白老東をはじめ、合同チームでも主将を担った横山

  白老東高野球部の横山勇覇=よこやま・ゆうは=(18)は3年間、少人数で公式戦に単独出場できない胆振地方の他校と合同チームをつくりながら各大会に挑んできた。一昨年秋の室蘭支部大会では伊達とチームを結成し、主将兼遊撃手として奮闘。卒業が控えた2020年度は投手として、念願の公式戦1勝を達成しようと意気込んでいた。

   その後は今年に向けて毎日欠かさず走り込み、筋力トレーニングなどに汗を流しピッチングの土台をつくった。本格的な投球練習を直前に控えた3月初旬、新型コロナウイルスによる学校休校で部活動も停止した。「春の大会までに間に合うかな」。一抹の不安がよぎった。

   長くチームメートと離ればなれにはなったが、無料通信アプリを使ったリモート練習は充実していた。「いつもより仲間の存在が身近に感じた。チームとしてまとまってトレーニングできた」と振り返る。

   感染症の流行拡大は止まらず、春、次いで夏の両公式大会が相次ぎ中止となったが、室蘭支部と南北海道の代替大会開催が決まった。「落ち込んでいても仕方がない。最後の舞台があるなら、そこに向かって頑張ろう」と気持ちを奮い立たせた。

   白老東は苫小牧西、富川と合同チームを結成。7月の大会までに行った練習試合はわずか4戦と満足な実戦経験を積めないまま本番を迎えたが、1回戦の対苫小牧南戦でエース番号「1」を背負い、先発登板した。

   初回に連打と味方の失策が重なり、先制点を許したものの、続く二回から六回までは被安打3に抑える力投。「フルカウントや満塁など、常に悪い状況を意識しながら練習してきた成果が出た」。9イニング計130球の熱投だった。

   さらに目を見張ったのは、「公式戦でヒットを打ったことがなかった」と言う打撃。初回に安打で出塁し、一時は同点となる本塁を踏むなど、5打数3安打を放ち、猛打賞とした。

   結局1―7で敗れて公式戦勝利には至らなかったが、「チームメートにたくさん助けられたおかげでいいプレーができた。すっきりした」と胸を張る。恩師の辻猛詩監督は「後輩たちにたくましい姿を見せてくれた」と3年生らしい発奮をたたえた。

   コロナ禍をしのいでこれた理由は同期の存在だ。高橋一成選手、小松ほのるマネジャーといった同級生の名を挙げて「頼もしい仲間がいたからこそ、つらい日々を乗り越えることができた」と感謝する。春から室蘭の企業に就職。野球は趣味として続けたいと考えている。

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