新型コロナウイルスの感染者が道内でも確認された昨年1月から、苫小牧保健所に寄せられた相談件数の累計が1万件に迫ることが分かった。今年2月末までに9760件、今月も11日までに113件寄せられている。胆振管内の感染が再拡大した昨年11月から今年1月には毎月900件台の相談が寄せられたが、2月は流行の落ち着きに伴い323件まで減少した。野尻彰生次長は「地域の感染状況や、自身の体調に関する不安の声が多い」と話す。
国内で初めて感染者が確認された後、昨年1月20日に電話相談を開始。2月に市民の陽性が判明すると相談は急増し、1カ月で699件に達した。胆振の感染者は道内でも早い段階で確認され、感染力や症状など分からないことが多かった3~4月は「感染者が出た地域に出掛けたが問題はないか」など自身の行動履歴に関する相談が増え、両月とも1000件を超えた。
その後減少に転じ400~600件台で推移したが、11月から再び増加。発熱やせきなどの症状から感染を疑う相談が中心となった。また、感染者が居住する市町村の公表を求める声も寄せられるといい、野尻次長は「公表の有無にかかわらず全ての人にとって感染対策は必要なので、理解をお願いしている」と話す。
同保健所では、10人程度の保健師が相談に対応する。体調に不安を感じる相談者に対しては、詳しい症状や行動履歴を聞き取り、自宅で様子を見るか、医療機関へかかる必要があるか―などを判断し、助言する。少数だが「感染で精神的にダメージを受けた」という相談もあり、医療機関の受診を促すなど必要に応じたサポートも行う。
管内の感染者数は2月が24人、今月は16日までに20人と抑制されているが、進学や就職、転勤などで人の往来が増える時期であることや、道内で変異株の感染例が確認されたことから、同保健所は感染の再拡大を懸念。マスク着用や手洗いの徹底、大人数での長時間に及ぶ飲食を極力避ける―などの対策を引き続き求めていく。