④競技への情熱冷めず 「仲間、指導者、母親に感謝」―北海道栄高校女子バスケットボール部 桜庭莉李亜

  • コロナを糧に~巣立つ高校生アスリート, 特集
  • 2021年3月16日
新年度からの大学で全国大会出場を夢見る桜庭

  「自分は本当にバスケットが好きなんだ」―。北海道栄高校女子バスケットボール部の桜庭莉李亜=さくらば・りりあ=(18)は4月から、北洋大(現苫小牧駒沢大)に進学して競技を続ける。青春の一ページを奪ったはずの新型コロナウイルスが、競技への情熱を呼び覚ましてくれたからだ。

   身長168センチと恵まれた体格でゴール付近での体を張ったプレーや、アウトサイドのシュートも器用にこなす万能プレーヤーは1年時から主力として活躍。実力ある同期にも恵まれ、2016年創部の道栄を全道大会常連校へと押し上げてきた。

   最上級生になった20年度は全国高校総体道予選で4強入りし、続くウインターカップ道予選では上位2校に入って悲願の全国大会出場を果たす算段だった。新型コロナによる2度の学校休校に伴う部活動停止。例年4月にある苫小牧地区の春季大会、続く高校総体予選の各種大会は相次いで中止になった。

   自粛期間中は同級生11人でつくる無料通信アプリ「LINE(ライン)」のグループ会話が心のよりどころだった。コロナに関する情勢を心配する声や、ときに消極的な言葉も漏れ伝わってきた。「ここでやる気をなくしたら、今までやってきたことが全部無駄になる」。撮りためてきた仲間たちとの写真と、心を奮い立たせる歌詞の音楽を組み合わせた数分間の動画を作成し、必死に鼓舞する自分がいた。

   男子部員と一緒になってハードな練習メニューをこなすのが道栄女子の特色。つらいはずだった日々が「いざなくなるとすごく寂しくて、物足りなく感じた」と言う。高校卒業後は空港勤務のグランドスタッフを目指して専門学校に進む予定だった。「大学でもバスケがしたい」。翻意の後、決心した。

   昨年6月の部活動再開後にウインターカップ開催の吉報が届き、やる気はさらにみなぎった。同10月の苫小牧地区予選を制し、続く11月の道大会ではブロック決勝まで進んだ。目標の全国大会出場はかなわなかったが「いい仲間や指導者に巡り会えたからこそ、きょうまで頑張ることができた」とすがすがしい表情を見せた。

   女手一つできょうまで競技人生を支えてくれた母知亜紀さんの存在も大きかった。自粛期間中は仕事終わりに欠かさずシュート練習に付き添い、大学進学を伝えたときには人一倍喜んで快諾してくれた。気恥ずかしくて面と向かっては言えないけれど、心から思っている。「ありがとう」

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