ウトナイ湖を代表する水鳥 「雁のいろいろアート展」開催中

  • レンジャー通信, 特集
  • 2021年3月5日
ガンに対する熱い想いを感じる作品が並んだ展示会場

  皆さんは、「ガン」という水鳥をご存じですか。カモとハクチョウの間くらいの大きさで、日本には数種が渡来し、そのうちのマガンとヒシクイがウトナイ湖ではよく見られます。主な繁殖地はロシア方面。越冬地の多くは本州にあり、渡り経路の途中に位置するウトナイ湖には、春と秋に飛来します。例年2月下旬ごろ、北上してきたマガンの「キャハハン、キャハハン」という甲高い声が湖に響きます。次第に増えるその数は、3月中~下旬ごろに数万羽になります。昨年は3月18日に、期間最多の7万4400羽を確認しました。

   ウトナイ湖をねぐらとして利用するガン類は、日の出とともに湖を飛び立ち、周辺の田畑で落穂などを食べ、夕方、湖に戻ってきます。警戒心が強く、群れで行動するのが特徴で、ワシなどに驚き一斉に飛び立ったり、首を伸ばし危険がないか確認する姿が見られたりします。飛び方にも特徴があり、V字の列をなす姿や、落雁(らくがん)と呼ばれる着水直前に速度を落とすために身体をひねる姿も見られます。

   さて、ガン類の飛来するこの時期に、その魅力を皆さんに知っていただきたいと、ただいまネイチャーセンターでは「第6回 雁のいろいろアート展」を開催しています。ねぐら立ちする数万羽のマガンや、ウトナイ湖ではあまり見られないコクガンの写真、日本で見られる数種のガンが共に飛翔する点描画、厳しい自然の中で生きるガン類を表現した俳句などのほか、絵、マンガ、レース編み、立体模型、陶芸、七宝焼き、羊毛フェルト、モビール、プラバン、ビーズなど、さまざまな手法で道内外の方が作られた作品を35点ほど展示しています。

   展示を通してガン類の魅力や、渡りの中継地であるラムサール条約湿地のウトナイ湖の重要性も、ぜひ感じていただきたいです。日時は4月29日(木・祝)までの開館日(土・日曜日および祝日)、午前9時30分から午後4時30分です。皆さまのご来館をお待ちしております。

  (日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ・和歌月里佳レンジャー)

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