毎年2月2日は「世界湿地の日」だということをご存知でしょうか。これは、ラムサール条約の採択日(1971年2月2日)を記念し、96年に本条約の常設委員会が定めた日で、世界各地では湿地保全や本条約についてのさまざまな啓発活動が行われています。ラムサール条約とは、正式名称を「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」といい、湿地の保全や賢明な利用の推進が目的。条約が締約されたイランの都市の名前から、一般的にラムサール条約と呼ばれています。
ウトナイ湖野生鳥獣保護センターでも毎年この時期は、世界湿地の日の関連イベントとして、ウトナイ湖周辺をスノーシューで探索したり、湿地に関するクイズラリーなどを行ったりしていましたが、残念ながら今年は新型コロナ感染症拡大防止のため、いずれの開催も中止となりました。
それでも、ウトナイ湖という苫小牧を代表する湿地についてより理解を深めていただきたく、世界湿地の日を記念したオリジナル動画を制作し、当センターの公式フェイスブックにて配信しています。今現在のウトナイ湖の自然を堪能できる内容になっておりますので、ぜひご覧いただけたらと思います。
また、今年はウトナイ湖がラムサール条約に登録されて、40年を迎える節目の年です。現在日本には52カ所の登録湿地がありますが、ウトナイ湖はこの中で4番目に登録されており、何十年も前からその豊かな自然環境が重要視されていたことがうかがえます。
先日、子どもたちを連れて冬のウトナイ湖を訪れました。一面に張った氷の上にはキツネやハクチョウの足跡、湖畔の林ではリスの足跡を発見しました。冬は木々の葉が落ち、どこか物さみしげな景色がある一方で、雪上に残る小さな足跡からは、他の季節では感じられない生きものたちの営みを目にすることができます。子どもたちの、その発見を楽しむ姿に、改めて自然から頂く学びの大切さを感じることができました。
いまだ新型コロナウイルスの収束が見えない昨今ではありますが、いま一度、地域の自然に目を向けてみませんか。そこに広がるのは、はるか昔から現在につながれ、そして未来へとまたつなげていかなければならない、尊い景色にほかならないのです。
(ウトナイ湖野生鳥獣保護センター・山田智子獣医師)