(3) 繁華街に活気戻る日願って 「コロナに負けない」 徹底した感染防止対策

  • 特集, 続暮らしの記録
  • 2021年2月17日
コロナに負けじと笑顔で接客する管野店主

  新型コロナウイルス感染拡大で、客足まばらな苫小牧市の繁華街。錦町でスナック「ナイト・イン・ステラ」を経営する管野はな子さん(32)は「活気がないまちを見るのは寂しい」と困惑しながらも、以前の人通りが戻る日を願って店を開け続ける。

   胆振管内の飲食店でクラスター(感染者集団)も発生し、「あすはわが身」とコロナが身近に迫る恐怖を覚えるが、来店客に不安を一切感じさせない。「コロナに負けない」という強い意志が、満面の笑みとなって表れている。

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   昨年は道や国の緊急事態宣言、休業要請の受け入れなどの影響で売り上げがダウン。オープン5周年の節目を祝うこともできなかった。年末は常連客らに支えられ、例年の5割ほどの売り上げを確保したが、今年に入ってから再び大幅に落ち込んでいる。「何とか店を維持していくので精いっぱい」と語るように経営への打撃は深刻さを増すが、感染防止にはひときわ力を入れる。

   来店客の検温や消毒、店内の換気はもちろん、会話などに伴い飛散するマイクロ飛沫(ひまつ)を吸引する小型空気清浄機も3台導入。接客の妨げになりかねないが、パーティションの設置も考えている。経費は積み上がっていく一方だが、店から感染者を出さないため安心を重視する。

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   それでも「正月休み」で1週間ほど店を閉じた際、「感染者が出たのでは」と疑われた。うわさがうわさを呼ぶ状況に、営業しにくさを感じることもある。周りの店舗は休業したり、週末のみ営業したり。感染リスクが高い「夜のまち」と名指しされ、風評被害を心配する場面もあったが「納得できないけど、誰も責めることはできない」と自分に言い聞かせる。

   営業を続けなければ生活はできない。店を一緒に切り盛りするスタッフ2人もいる。今なお通常通りの営業時間を継続し、「来てくれるお客さまのため―と気持ちを鼓舞させながら営業を続けたい」と前を向く。コロナ収束まで団体客利用も見込めないが、繁華街のあちこちに再び明かりがともる日を、願い続ける気持ちに変わりはない。 (松原俊介)

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