◇下 市長公約 「ふくし」大作戦の集大成 IR 成長戦略の位置付け崩さず

  • 特集, 財政苦難の時代 2021年度予算企画
  • 2021年2月17日
都市再生プランの策定に向けた会合。世界的建築家の隈研吾氏を座長に東京でも議論を重ねてきた(苫小牧市提供)

  岩倉博文苫小牧市長の4期目の任期も残り2年を切った。岩倉市政の代名詞と言える、一つの政策課題に1年間まちぐるみで取り組む「大作戦」と銘打ったキャンペーン。2021年度のテーマ「ふくし」は4期目最後の大作戦で、公約に掲げる「快適都市を目指して~笑顔あふれるふくしのまちづくり」の集大成を目指す。

   福祉の文字をあえて平仮名表記にし、新たな視点で支え合いのまちづくりを追求するふくし大作戦は11、16、17年度にも展開。4回目となる今回は、21年度一般会計予算案に関連事業費530万円を計上した。介護事業者のICT(情報通信技術)導入支援や社会福祉法人との連携強化などに着手。継続事業として障害を理解し、配慮できるサポーターの輪を広げる「あいサポート運動」や認知症の関連事業、地域福祉活動の支援なども予定している。各種事業を21年度に始まる6カ年の第3期市地域福祉計画と連動させ、市民一人ひとりが支え合いの心を行動に移す機運の醸成に努める。

   新型コロナウイルスの状況次第では、計画している事業が予定通りに進まない可能性もあるが感染拡大に伴う行動自粛で人のつながりが希薄化する中、助け合いの意義は増しており、福祉部の担当者は「工夫してできることを探したい」と説明する。

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   市長4期目の公約では、乳幼児等の医療費助成制度の対象範囲拡大や道立特別支援学校の誘致、受動喫煙防止条例制定などを掲げ、昨年3月時点での達成率は54・8%と順調に推移していたが、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)が暗い影を落とす。

   特に成長戦略の一つに位置付ける国際リゾート構想。カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を中核に雇用創出や交流人口の拡大を狙うが、道は国への認定申請を見送る考えを示しており、実現性は極めて乏しいのが実情だ。

   10日の予算案発表の記者会見で、岩倉市長はこうした状況を踏まえつつ、IRを成長戦略に位置付ける姿勢を崩さず「道の考え方が明確になった段階で、即応できるよう体制を含めて準備する必要がある」と強調。国際リゾート構想推進事業として20年度中に策定予定の「都市再生プラン」の具現化に向け、21年度当初予算案に関連事業費200万円を計上した。

   同プランでは新千歳空港や苫小牧港の強みばかりでなく、ものづくり産業が集積するまちとしての歴史も考慮したまちづくり戦略を打ち出す考え。数ある地域資源を、まちの成長発展にどうつなげていくか。岩倉市長は「アフターコロナを見据えてさまざまな角度から時代を捉え、チャレンジしていくことになる」と力を込めた。

   ※この企画は河村俊之が担当しました。

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