新型コロナウイルスの影響を見極め、必要な対策をどう講じていくか―。2021年度各会計予算案の編成に当たって、最も重視したポイントの一つだがコロナの収束がいまだに見通せない中、一筋縄ではいかない。
コロナ関連で当初予算案に具体的に盛り込まれたのは、庁舎内やイベント会場で使う消毒液をはじめとする感染対策備品購入費計800万円程度。幹部職員の一人は「コロナの感染状況が、どうなっていくのか見えない。状況によって必要な対策も変わるので、事業項目を決めるのは容易ではない」と指摘する。
限られた財源の使い方に慎重を期すのは当然のことだが、対応が後手に回るのは避けなければならない。コロナの収束時期が見えない中、難しい判断を迫られている。
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市が新年度予算案を発表した10日の記者会見。岩倉博文市長は「コロナ対策が最優先」と強調した。財政の「秩序ライン」を一時的に崩してでも▽感染拡大防止▽地域経済対策▽市民の健やかな日常(を守る)―の重点軸に沿った事業を進めることへの強い意気込みを示した。その言葉を裏付けるように、18日開会の市議会定例会では、コロナ対策費を盛り込んだ一般会計補正予算案を、2回に分けて提案する考えも表明した。
いずれの補正予算案も今年1月に成立したばかりの国の3次補正予算の地方創生臨時交付金の活用が軸。まずは20年度補正予算案で11事業の総額4億500万円を計上した。昨年末以降の感染再拡大で経営に深刻なダメージを受けながら、これまで支援金の対象外だった業種・業態への支援を拡充。救急搬送や公共施設、ごみ収集、イベント開催、学校給食の配膳などの感染予防策も強化する。即応性を重視し、20年度中にも各事業に着手したい考えだ。
併せて、調整中としながら、21年度補正予算案で▽プレミアム付き商品券の第2弾▽スポーツ大会への感染防止対策費用の一部助成事業▽コロナ対策に伴う店舗改装費補助事業▽飲食店などへの上下水道料金支援▽「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた「ワーケーション」の拠点構築事業―など9事業の展開を目指す考えを明らかにした。
さらに、臨時的な事業に柔軟な対応ができるよう予備費を21年度当初予算案段階で前年度より1億円増額し、1億3000万円まで積み上げる特別な措置も講じている。
すでに国や道の交付金や補助金とは別に、市独自の一般財源約8億円をコロナ対策に使っているが、21年度補正予算案で検討中の事業実施に当たり、独自財源のさらなる持ち出しは避けられそうにない。
異例の税収減が見込まれる当初予算案だが、想定を上回る厳しい情勢も見え隠れしており、市長の行政手腕が今まで以上に問われている。