趣味のウオーキングを毎日1万歩、地球1周分(約4万キロ)の達成を夢に掲げ、63歳から挑戦している苫小牧市澄川町の橋爪好伸さん(75)。新型コロナウイルスの感染が拡大した昨年2月以降も「今は我慢の時」と自宅内のステップマシンに乗り、歩数を伸ばしてきたが昨年秋ごろからそのペースが落ちていた。
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苫小牧郷土文化研究会の副会長。今年度は、研究調査報告集「郷土の研究」の編集を担当している。5年に1度の大事な作業で、書斎にこもる日が増えるうち、目標通り歩く習慣が徐々になおざりになった。橋爪さんは「社会全体が巣ごもりがちになったこともあり、編集を言い訳にしてしまった」と反省しつつ、編集作業への没頭で「コロナの不安を忘れることができた」と話す。
1日1万歩の目標を達成できない日が増えたが、買い物で外出する際はなるべく徒歩。「マスクをして歩くので息が上がるような無理はしない。楽しむことを心掛けている」と言う。妻の昭子さん(75)も夫の体調を気遣うように、小さな買い物を頼む。できる範囲で歩く距離を延長。「用事を終えた後の寄り道が楽しい」とほほ笑む。
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コロナ下で人生を見詰め直す機会も増えた。昭子さんは「友達とは直接会いにくくなったが、電話すると昔話が多くなった」と語る。息子夫婦や孫とも会えない日々が続くが、SNS(インターネット交流サイト)を活用したやり取りで心のつながりはより密に。コミュニケーションの取り方は以前と変わったが、夫婦の新たな楽しみとなっている。
橋爪さんはこの1年を「時間の使い方について考える機会になった」と振り返る。歩行距離は今年2月までに地球1周分の約6割、約2万3800キロに達した。この半年は約900キロにとどまったが「たとえ時間はかかっても、一歩を踏み出すたびに目標に近づく」と目を輝かせる。編集作業が一段落したら、1日1万歩のウオーキングを再開させる予定。「感染には十分注意する」と気を引き締めながら「目標ある人生は素晴らしい」と再認識している。
(半澤孝平)