白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)中核施設・国立アイヌ民族博物館(佐々木史郎館長)で、収蔵資料展「イコロ―資料にみる素材と技―」の第2期が開かれている。昨年12月1日に開幕した同展の第1期展示物を一部入れ替え、新たに金属製のトゥキ(杯)など希少な資料の数々を紹介。X線でアイヌ民族資料の構造などを調査した成果も伝えている。
同展は、同博物館の第1回テーマ展の位置付け。布、ガマ、木材、漆、金属、紙の素材別6テーマで衣服や生活用具などの資料80点を展示し、科学分析装置で明らかにした素材と技にもスポットに当てる内容とした。
第2期は、木綿衣やござなど約30点を入れ替えて今月2日にスタート。アイヌ民族が和人との交易で入手したとみられる漆塗りのふた付き鉢(プタウンパッチ)、赤いリボンのような布が付いた金属製の耳飾り(ニンカリ)など珍しい資料も新たに紹介している。
アイヌ民族が儀礼で使用したトゥキは、一般的に木製の漆器だが、第2期の目玉の一つとして希少な金属製を展示。真ちゅうの器をスズで補修した痕を捉えたX線画像も添えている。現在確認されている金属製トゥキの数は少なく、どこで作られ、アイヌ民族がどのように手に入れたのかは不明。大江克己研究員は「由来の解明などは今後の研究課題」と言う。
この他、アイヌ語地名研究家で、現在苫小牧市に本社を置く化学メーカー北海道曹達の社長を務めた山田秀三(1899~1992年)の直筆原稿を展示。アイヌ民族の男たちが鍋でクマの肉を煮る様子を精密に描写した江戸時代の風俗画「蝦夷国風図絵」(小玉貞良作)や、飼いグマに餌を与える場面などをびょうぶに描いたアイヌ絵(奥平鳳蘭作)も目を引く。
同博物館は、職員が衣服などの展示物について解説するイベントを27日に行う。時間は午後2時半から30分間で、定員は30人(先着順)。希望者は当日、会場で受け付ける。
第2期は3月21日まで。その後、再び展示資料を一部入れ替え、同30日から5月23日にかけて第3期を開催する。博物館の入館料は、ウポポイ入場料(大人1200円、高校生600円、中学生以下無料)に含む。入館は事前予約が必要で、詳しくはホームページに掲載している。