白老町のアイヌ文化発信拠点・民族共生象徴空間(ウポポイ)で、冬のプログラムが展開されている。7日には、昔のアイヌ民族の子どもの遊びを体験するイベントもスタート。シカの皮をそり代わりにしたウパシチャラセ(雪滑り)などが行われ、参加した親子連れの歓声が園内に広がった。
冬のプログラムは、冬場の集客対策として施設を運営するアイヌ民族文化財団が1月から始めている。AR(拡張現実)技術を活用したプログラムは同月30日に開始。スマートフォンにインストールしたARアプリを使い、実際にアイヌの衣装を着たような自身のバーチャル(仮想)写真が園内で撮影できるようにした。スマホの画面でルウンペ、チカラカラペなど着物の種類も選べ、来場者を楽しませている。
「シノッ(あそび)」と題したプログラムも企画した。ウコカリプカチウ(投げ輪)、トウシスイエ(棒縄跳び)など伝統の遊具を園内に配置。昔のアイヌの子どもが狩猟道具の作り方や使い方も学んだ遊びを自由に体験できるようにしている。
7日にはシノッの特別イベントもスタートした。4組の親子連れが参加し、アイヌ語のラジオ体操で体をほぐした後、体験学習館前の広場でカリプカチウ(輪投げ突き)に挑戦。2人1組になり、相手が投げた木の輪を二股状の棒で受け取るゲームに熱中していた。広場では、高さ2・5メートルの雪山の斜面をシカ皮に乗って滑り降りるそり遊びも行われ、子どもたちの歓声が辺りに響いた。
また、今月から「イラマンテ(猟・漁)」と題したイベントも用意。狩猟や漁労、採集について職員が解説し、弓矢を使った狩猟の疑似体験も楽しんでもらう。この他、アイヌが狩猟の際に野山で寝泊まりしたクチャ(仮小屋)や、保存食サッチェプ(サケの寒干し)作りの風景を再現し、昔の暮らしの営みに触れてもらう場を伝統的コタンゾーンに設置。体験学習館前にはクチャを疑似体験する小型テントも並べた。
施設を運営するアイヌ民族文化財団(札幌市)によると、新型コロナウイルスの影響も加わり、1日平均の入場者数は昨年12月346人、今年1月271人と厳しい状況が続いている。このため、同財団は「冬期間の特別プログラムの展開が集客につながれば」と期待している。
プログラムの詳細はウポポイのホームページに掲載している。