新型コロナウイルス感染者が胆振管内で初めて確認されてから間もなく1年。苫小牧市社会福祉協議会の渡辺敏明会長は「そのうちによくなると思いながら結局1年」とため息をつきつつ、「すぐに収束するとは思えない。社協に求められる責任、役割をコロナに気を付けながら全うするしかない」と決意を新たにする。
コロナで町内会をはじめ、地域の行事や活動が軒並み中止となり、高齢者の外出機会が著しく減った。社協は昨年5月から冊子「おうちで楽しめーる便」を毎月発行し、自宅で楽しめる脳トレや体操などを紹介。渡辺会長は「クイズなどをやってもらうだけが目的ではない。製作から配布までコミュニケーションツール。安否確認にも役立つ」と説く。
町内会や老人クラブなどによるふれあいサロンも昨年、国や道の緊急事態宣言で自粛を強いられ、夏に再開の動きが見られたが、昨秋以降は再び自粛ムード。人と人とのつながりが希薄になりがちな中で「社協としてもアンテナを張り、コロナ下でどういったことをしていけるか考えたい」と言う。
地域の高齢者らとの接点を保ち、安心感を醸成しよう―と近く地域活動を社協職員が撮影。動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信する取り組みをスタートさせる。「直接会えなくても精神的な部分で密な関係にある感覚は忘れない」と効果に期待。「社協が『こうしよう』『こうしてください』ではないかもしれないが、地域にヒントを投げ掛けられれば」と話す。
コロナ禍を踏まえた国の生活福祉資金貸付制度の申請窓口も担う。申請は1月末現在で、緊急で生活費が必要な人に最大20万円を貸す「緊急小口資金」が761件、失業などで家計が維持できない人に月20万円まで原則3カ月貸す「総合支援資金」は235件を数える。申請が殺到した時期もあり「今までにない風景だった」と回顧。職員もコロナ対策を含めて緊張感を持って対応しており、「どんな時代になろうと助け合いが必要で、社協は頼りにされている。きめ細かな地域サービスを心掛けたい」と語る。