7 苫小牧市民生委員児童委員協議会 松村順子会長(69) 電話や手紙で見守り 高齢者の孤立防ぐ

  • コロナ禍を乗り切る, 特集
  • 2021年2月1日
「ウィズコロナの認識で、やれることをやっていく」と松村会長

  新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと、あらゆる場面で「対面」を避ける傾向にある昨今。苫小牧市の地域福祉の担い手、民生委員・児童委員たちも昨年2月以降、高齢者の見守り活動に苦心してきた。苫小牧市民生委員児童委員協議会の松村順子会長は「民児委員も地域の方も高齢者同士。早くワクチンを接種し、以前のような活動ができれば」と待ち望む。

   住民ボランティアの民児委員は現在354人。市内に1万4000以上ある単身高齢者世帯を、手分けして見守ってきた。1人当たり平均40世帯以上を担当する計算。定期的に対象者の自宅を訪れ、高齢者の立場に寄り添いながら相談に応じている。

   コロナ禍はそんな地域に欠かせない福祉支援の在り方も変えつつある。全国民児委連合会は昨年3月、訪問見守り活動をできる限り、電話やメールで代替するよう各民児協に通知。松村会長は「すべてがストップしたような戸惑いも感じたが、とにかく『感染しない』『させない』をモットーに活動した」と振り返る。

   現在は電話による見守りが主流で「声を聞けば調子の良しあし、いろんな感情がそれなりに分かる」と言う。中には詐欺や勧誘などを警戒し、電話になかなか出ない人もいるが「そういう方にはお手紙」。郵便受けに手書きのメッセージを入れており、「それだけでも『ありがたい』と喜んでくれた方もいる」と顔をほころばせる。

   ソーシャルディスタンス(社会的距離)を意識するあまり人と人との距離が離れがちになる中、心掛けるのは少しでも表情が分かる接し方だ。「コロナ禍で活動的だった人が閉じこもったり、孤独だった人がますます孤立化したりする」と指摘。「対象者との人間関係をしっかり構築し、いろんな相談を受けられるようにしたい」と話す。

   一方で民児委員の任期は3年。何期も歴任している委員は多いが、コロナが発生する直前の2019年12月に81人を新任したばかりだ。町内会活動もコロナで滞り、「地域で関係を築くのが本当に難しくなった」と感じるが「みんな同じだと思う。できることを何とかやっていく」と前を向く。

   

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