苫小牧育ちで独自にアルペンスキーに取り組んでいる田中深愛(みのり)=明倫中2年、ニセコジュニアスキーチーム=が1月、ぬかびら源泉郷ユース回転・大回転競技大会(8~10日、十勝管内上士幌町)の女子回転で10位に入る健闘を見せた。初めて出場権を獲得した全国中学校体育大会(全中)は長野県で今月開催予定とされながら新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止に。それでも「来年こそは出場して好成績を残したい」と前向きに話している。
今季は道中学スキー大会が同様にコロナのため中止された代替措置として同ユース競技大会が全中出場選手選考レースに指定されていた。田中は中学・高校の計58人が出場した回転で総合10位で高校生を除く中学年代の9位となり、10位以内に与えられる全中出場権を手にした。
1年時の昨季出場した全道中学(昨年1月)では、回転33位、大回転25位に終わり、道代表入りを逃していた。悔しさをばねに、昨夏は札幌の玉越ストリームレーシングをはじめとする道内強豪クラブチームのトレーニング合宿に参加して基礎を磨き、体力をつけた。
冬に入ると、空知管内長沼町や後志管内ニセコ町のスキー場に連日通い詰めて練習に励んだ。滑降時の姿勢を課題にしてきたが「頭の位置がずれないように練習から意識している」と改善に意欲的だ。
田中はゲレンデがない苫小牧で生まれ育った。スキーを始めたのは2歳の頃で、会社員の父康誠さん(54)と連れられて2人の兄とスキー場に行ったことがきっかけだった。「物心がついた頃にはスキー板に乗っていた」と田中。小学高学年になってからは、平日もナイター営業する市外のスキー場で練習を重ねた。本格的に打ち込んできたアルペン競技の魅力について「コンマ何秒で勝負が決まるところ」と語る。
初めての出場を決めていた全中は1月18日に中止が発表された。田中は「全国の舞台で成績を残そうと思っていたので残念」と率直に語ったが、すでに来季を見据えて練習を進めている。本番を想定したタイムレースでは「誰よりも闘争心を持って滑っている」と言う。
指導するニセコJSTの古渡泰徳代表(40)は「旗門のぎりぎりを攻める滑りが田中の魅力」と評し、「世界に羽ばたく選手になってもらいたい」と期待を寄せている。
コロナ禍を乗り越え、3年生として挑む次回の全中で上位入賞を目指す気持ちはますます高まった。「出場するだけでなく結果も出したい」と意欲的。将来はプロスキーヤーになる夢を持ち、「高校や大学で活躍して、五輪に出場できる選手になりたい」と意気込みを示した。