「王子、イブ決戦で劇的V」「連覇果たす」「城野が決勝ゴール」と1面やスポーツ面に大見出しが踊った。1990年クリスマスの12月25日に配られた苫小牧民報だ。
苫小牧の王子製紙アイスホッケー部は前日、第25回日本リーグで初採用されたプレーオフを制した。5戦3勝先取方式で国土計画と競い、東京であった2勝2敗同士の最終戦を4―3でものにして2年連続12度目の優勝を達成。記者は新人時代、この名勝負に立ち会って興奮のままに「東伏見アイスアリーナは王子優勝の光景の一大パノラマとなった」と記事にした。スポーツ取材の原点になった。
〈本間貞樹監督、選手の皆さん、2連覇おめでとう〉で始まるメッセージが「王子製紙社史本編 1873―2000」に紹介されている。当時の千葉一男社長からチームに寄せられた賛辞という。01年刊行の同書第10節は「華々しい成績を残したスポーツ」の題でアイスホッケー部を冒頭に詳述。大正期結成以来の発展を振り返り、全日本選手権戦績やFW選手兼監督だった引木孝夫、GKの大坪利満両氏、昭和から平成初期にかけた名FWコンビ鈴木宣夫、矢島敏幸両氏らを挙げて〈数々の名選手を輩出した〉と記す。
長い歴史を継ぐ王子イーグルスは今季続開中のアジアリーグ・ジャパンカップで目下首位。来季は新会社運営のクラブに生まれ変わる。史上空前のコロナ禍の下ではあるが、まずは優勝へ突進してもらいたい。(谷)