1 苫小牧弁当仕出協同組合 今田正義理事長(70) イベント激減も「負けていられない」 地域に喜ばれる事業を

  • コロナ禍を乗り切る, 特集
  • 2021年1月25日
「コロナを克服して今年は港まつりを」と今田理事長

  苫小牧市内のイベントや会議、冠婚葬祭などあらゆるシーンで重宝されてきた弁当や仕出し料理。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、そうした場面そのものがほぼ姿を消し、販売する企業は大きな痛手を被った。苫小牧弁当仕出協同組合の今田正義理事長は「コロナで組合活動もできなくなった。厳しい」と嘆きつつ「コロナに負けていられない」と強調する。

   2020年度はとまこまい港まつりやスケートまつり、苫小牧漁港ホッキまつりなど、市内の主要イベントが相次いで中止となり、組合としての受注もゼロに陥った。コロナ前は苫小牧の特産品であるホッキ貝のおむすびなどを提供し、地産地消の推進に貢献してきたが、「何もかもができなかった」。19年度末に1社が脱退し、現在加盟は5社と組合規模も縮小した。

   加盟事業所それぞれが、大きな打撃を受けた。売り上げが前年同月比で半分以上減り、国の持続化給付金を活用した事業所もあった。コロナ前から人手不足や後継者の不在、コンビニとの過当競争など厳しい課題に直面しており「仕出しをこの際だからやめるという話もあった」と肩を落とす。今田理事長が代表取締役を務める「甚べい」も、売り上げの3割を占めるイベント関連がほぼ皆減した。

   一方で、同社は「巣ごもり需要」の増加に伴うテークアウト人気の高まり、市のプレミアム(割り増し)付き商品券事業などを追い風に、各店舗で弁当の売り上げがアップ。「商品券で弁当を購入してくれる市民が増えるとは思わなかった」と振り返る。年間売り上げは1割以上の減となる見込みで、従業員60人規模の同社にとっては死活問題だが、地域に根差してきた実績を強みに活路を見いだす。

   重視するのは、新たな需要の掘り起こし。日替わり弁当メニューを充実させ、「企業給食」の配達営業を積極的に展開。新聞の折り込みチラシを活用し、「コロナに負けるな」と銘打ち、定期的に割引きクーポンを発行する事業所もある。「コロナでみんなが大変な時期。多少は損しても地域に喜ばれる事業を考え、売り上げダウンに歯止めをかけたい」と話している。

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   新型コロナウイルス感染者の国内初確認から1年が過ぎた。苫小牧市内の各業界、団体はコロナ時代をどう乗り切ろうとしているのか。トップに話を聞いた。

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